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庁舎建築としては初!重要文化財に指定された丹下健三設計 香川県庁舎 東館


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庁舎建築としては全国初の国の重要文化財に指定された香川県庁東館。以前訪ねた時は改修工事中だったので今回初めてじっくり見学することができました。感動!確かにこれは後世に残すべき建築です。

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モダニズム建築

2021年11月19日丹下健三設計の香川県庁舎が庁舎建築としては初の国の重要文化財に指定されました。実は遡ること22年前の1999年に国際組織「DOCOMOMO(=Documentation and Conservation of buildings,sites and neighbourhoods of the Modern Movement/モダンムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査及び保存のための国際組織)japan」によって既に「文化遺産としてのモダニズム建築20選」に庁舎建築としては唯一選ばれています。ですから、今回の重要文化財は、これに追随してようやく国が動いたという流れになりますね。

丹下健三設計 香川県庁舎 東館

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瀬戸内の丹下建築の集大成

丹下健三は、初期の作品の多くを瀬戸内で手がけています。1958年の今治市庁舎・公会堂、1965年の今治市市民会館、1960年〜65年高松一宮住宅団地(現存せず)、1964年香川県立体育館、1966年戦没学徒記念館などがあります。中でも県庁舎と同じ高松市内にある香川県立体育館(通称船の体育館)は、解体の危機にありましたが、現在香川県が民間業者の委託や提案を把握する「サウンディング型市場調査」を実施しています。今後の動向に注目の建築です。

これは3年ほど前に訪れた時の写真ですが、本当に巨大な船が陸に上がったような特徴的な体育館です。▼

香川県立体育館

瀬戸内の建築を設計することで、丹下健三は、日本の伝統や地域性、戦後民主主義に向き合うことになりました。

ですから、丹下健三にとっ て瀬戸内は、自らのアイデンティティを発見し、多くの協働者を得て、現実の社会と関わる建築を初めて実現できた重要な場所なのです。そして、その集大成が香川県庁舎です。

また、現在も瀬戸内各地に残る丹下建築は、地域の建築家たちの発想を刺激し、その後多くの名作を生み出すきっかけともなりました。瀬戸内の丹下建築は、瀬戸内の建築文化の重要な起点となったのです。

1階ロビー空間

全面ガラス張りの開放的な1階ロビー。建築とアート好きにとってなんといっても見所はこの空間です。現在では珍しくない建築家とアーティストとの協働ですが、竣工時の1958年にこれだけ大胆に芸術を取り入れたパブリック空間は、斬新だったでしょう。今見ても全く遜色ない空間です。

丹下健三設計 香川県庁舎 東館

香川県出身の洋画家猪熊弦一郎の陶板壁画 「和敬清寂」は、大胆かつのびやかな表情で来訪者を迎えます。猪熊弦一郎は茶道の精神に戦後民主主義の理念を読み取ってこの作品を制作しました。

実は、この庁舎建設時の県知事は、6期24年に渡って県知事を務めた、猪熊弦一郎の旧制中学校の後輩の金子正則でした。金子正則は「デザイン知事」の異名を持つ人物で、猪熊弦一郎が丹下健三を紹介したことがこの庁舎建設の始まりでした。

丹下健三設計 香川県庁舎 東館

ロビーの大空間に配置されている木製や陶製の椅子、木製棚、石テーブルなどは丹下研究室によるデザインです。この家具の制作は、現在香川県を代表する家具メーカーとなった桜製作所が手がけました。

この空間は香川県庁舎の中でも特に建築とデザインとアートが互い共鳴しあいながら見事に調和している「芸術の総合」と言える空間です。

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ピロティ

金子と丹下が香川県庁舎で目指したのは、市民が自由に立ち寄れる公共空間でした。県庁舎の正面玄関へと向かう低層棟1階は、約7mの柱で持ち上げたピロティになっています。

丹下健三設計 香川県庁舎 東館

開放的なこのピロティ空間は前面の歩行者道路との境界が非常にあいまいで、街を行く市民たちは自然と庁舎の敷地の中へ導かれます。

ピロティはル・コルビュジエが提唱した近代建築五原則のひとつですが、それが市民の集う場、民主主義の場として有効に使えると考えたのは丹下健三がはじめてです。丹下健三は、香川県庁舎のピロティに都市の広場としての機能をもたせたのです。

丹下健三設計 香川県庁舎 東館

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丹下健三設計 香川県庁舎 東館

南庭

“南庭”は地元で産出される庵治石の巨石を用いた池泉回遊式庭園です。庭園の設計は丹下研究室(当時)の現場担当者だった神谷宏治がデザインしました。

優雅な太鼓橋を渡って庁舎へ向かいます。▼

丹下健三設計 香川県庁舎 東館

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外観

コンクリートの柱と梁の組合せは、木造建築をイメージさせます。この直線的な外観のカッコ良さたら。まさにモダニズム建築の傑作ですね。▼

丹下健三設計 香川県庁舎 東館

ガイドツアー

事前に予約しておけば、外部の人は普段見学できない場所を約1時間案内してくれる香川県庁舎東館ガイドツアーというのがあるのですが、現在コロナウィルスの影響で残念ながら中止されています。

このガイドツアーが再開されたら是非参加したいと思っています。剣持勇がデザインした知事室、県議会議場、議長室、県庁ホールの家具や、コルビジェリスペクトの屋上などなど実際に見てみたいですね。

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基本情報

香川県庁 東館

 香川県高松市番町4丁目1−10 MAP

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