旧軽井沢にある脇田美術館。この美術館にはこれまでに何度か訪問しているけれど、その敷地内に建つ吉村順三設計の脇田和のアトリエだったアトリエ山荘は、広い庭園から眺めるだけで中に入ったことがありませんでした。
と言うのもアトリエ山荘の公開は年間数日間のみ。これまでタイミングが合わなくて美術館鑑賞だけで東京へ戻ってきていました。そしてこの夏ようやくアトリエ山荘の建築公開に参加して内部見学をしてきました。

ようやくその中に入ることができたアトリエ山荘についてレポートします。
PR脇田美術館
脇田美術館は、JR軽井沢駅から徒歩で約10分ほどの旧軽井沢にあります。洋画家として名を馳せた脇田和が自身の美術館を自身でつくりました。
長年夢見た自身の美術館が開館したのは1991年で脇田和83歳の時です。
美術館の建つ場所は、脇田の友人である吉村順三設計のアトリエ山荘と同じ敷地内に向かい合うようにして建っています。
その間には芝生の広々とした中庭があり、金属の彫刻はご子息で彫刻家・造形作家だった脇田愛二郎の作品です。
脇田美術館についての詳細はこちらの記事を読んでください。
吉村順三設計アトリエ山荘
吉村順三と脇田和は、共に1908年生まれの同じ年で、共に東京藝術大学で教鞭をとっていたという共通点があります。懇意にしていた建築家に自身の軽井沢のアトリエの設計をお願いするのは自然な流れだったのでしょう。

1970年に竣工したアトリエ山荘は、2階建てですが、1階部分は2階床スラブまでをコンクリート造で、1階には一部ボイラー室と作業室があるけれどその大部分はピロティとなっています。
また、木造の2階部分は長さが35mもあり、庭を取り囲むようにくの字型をしています。住居スペースは並行な壁がない曲がった平面で構成されていますが、アトリエ部分だけは平行な壁で取り囲まれた長方形をしています。

庭から見ると、まるで居室が宙に浮いているかのような軽やかな建築です。
PR
初めて入ったアトリエ山荘
外観はこれまで脇田美術館に来るたびに見ていたけれども、内部に入るのは初めてです。

ピロティから階段を登ると玄関があります。階段が劣化しているということで、一度に複数の人間が階段に登らないようにという注意があり、ひとりづつ階段をのぼりました。

室内に入り、右に向かうと大きな暖炉のあるリビング空間が広がります。
手前には造り付けのダイニングテーブルがあり、真っ赤なベンチシートとテーブルの上には可愛い照明が吊ってあります。

その先には壁に沿ってベンチシートが続いています。ソファに腰掛けると正面の大きな窓ガラスから中庭の景色が見渡せる気持ちの良い空間です。
実はこの長いベンチ、座の部分を引き出すと二つのベッドに早変わりするんだそうです。

カーペットは目の覚めるような紫、経年変化で綺麗な飴色になっているリビングの天井は軒先まで続き、空間を広く見せています。

リビングの先にはアトリエがあり、脇田和が使用していた当時のまま保管されています。
見学会で非公開だった玄関から左側には寝室などのプライベートスペースで、現在館長をされている脇田和のご長男が、軽井沢に来ると使用しているそうです。
PR
アトリエ山荘を見学するには
脇田美術館は冬季休館中をのぞき6月の上旬から11月の上旬まで開館しています。しかし、アトリエ山荘は常時公開しているわけではありません。
2024年は7月と8月の4日間づつ計8日間、事前予約制でアトリエ公開ウィークが開催されました。
アトリエ公開ウィークの申し込みは電話かファックスというアナログな方式です。参加費は一人3,000円です。
特にガイドや解説があるわけではなく時間内自由にアトリエ内を見学します。椅子に腰掛けてもOKです。撮影も可能でした。
大体毎年夏と秋に期間限定で公開されています。
また、アトリエ公開ウィーク以外にもゲストを迎えた建築ワークショップの中にアトリエ山荘の見学が組み込まれているイベントもあります。
今年は夏だけのアトリエ公開だったのか、今年の秋のアトリエ公開の案内はHPには出ていません。
常に脇田美術館の公式HPをチェックしていると案内がでます。
基本情報
脇田美術館
開館時間:10:00 – 17:00(夏季は〜18:00) 入場料:一般1,100円、大高生700円、中小生無料 開館日:6月上旬~11月上旬開館、冬季休館 長野県北佐久郡軽井沢町旧道1570−4 MAP |
軽井沢のオススメ美術館
軽井沢の新スポット
軽井沢の吉村順三設計のカフェ
軽井沢の教会建築
軽井沢のレトロ喫茶・カフェ
PR