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前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館の椅子と照明と柱のない大空間が最高!


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浦和にある前川國男設計の打ち込みタイルが美しい埼玉会館と共にかねてより訪問したいと思っていた埼玉県立歴史と民俗の博物館へ行ってきました。

この博物館は緑豊かな大宮公園の中に位置しており、公園のグリーンに前川國男建築の代名詞とも言える煉瓦色の打ち込みタイルが映える建築です。

博物館なので中に入ることもできるのでじっくり観察してきました。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る
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埼玉県立歴史と民俗の博物館

埼玉県立博物館は、埼玉県の設置100周年を祝う「埼玉百年」記念事業のメインプロジェクトとして1970年に竣工しました。博物館が開館したのは翌年1971年です。

設計は前川國男です。開館時は埼玉県立博物館でした。埼玉県立博物館等の統合計画により2006年に現在の「埼玉県立歴史と民俗の博物館」となりました。

前川國男の仕事としては、外壁全面に打ち込みタイルを使用した1966年竣工の埼玉会館のあとの仕事で、残念ながら解体されてしまった1974年竣工の東京海上日動、そしてここ埼玉県立歴史と民俗の博物館にとても似ている1975年竣工の東京都美術館の直前の仕事ということになります。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲駅から向かうと見えてくるのは、サインが貼られた窓です。でもここで注目したいのはその手前の手すりの意匠です。三角形の意匠がかわいいですね。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館の外観

公園の入り口と共に見えてくるのが博物館の入り口です。なんか既視感あるなぁと思う方は多いでしょう。そうです。東京都美術館にそっくりですね。

前述しましたがこちらの方が先に竣工しています。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲前川國男らしいタイル2色使いの床の先には階段上になったステージのようなスペース。残念ながら「ここに上がらないで」の注意書きが。のぼってみたかった。

しかし、広い広いアプローチです。高揚感をマックスまで上げるには十分に余裕のある広場です。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲エントランスまでの広場は、フラットで平坦ではなく、現在は上がることができないステージが設けられていることによって高低差によるリズムが作られています。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲いよいよこちらが館の入り口です。

大きな窓を通して建物の反対側にある緑が広がり幻想的な風景が目の前に。この緑を取り入れたエントランスのファサードは東京都美術館にはないデザインです。素敵ダァ。

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前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館の内部

エントランスロビーもまたすごい!

全く柱がない広々空間が広がっています。外部の2色使いのタイルは内部にも取り入れられており、両サイドがガラスで外の景色を取り込んでいます。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲ここが博物館であることを、そして埼玉県であることを忘れてしまいそうな大空間です。

天井のコンクリート、床の2色のタイル、手前の階段の三角形の手すりの意匠、全てが前川國男で、全てがクールです。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲この素晴らしい大空間に目をつけた人が音楽業界にもいたようです。

武蔵美出身のボーカル草野マサムネで有名なバンドスピッツの「正夢」の PVがなんと!ここ埼玉県立歴史と民族の博物館で撮影されているのです。

スピッツの「正夢」は2004年の発売なのでもう20年前になります。20年前も現在もこの空間は色褪せません。

興味がある方は PVを見てください▼画質が20年前を物語っていますね。

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前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館の階段

エントランスとエントランスロビーの大空間に感動しましたが、目を見張るのはそこだけではありません。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲しっとりと静かに佇む外階段の横顔の美しさ。ここの手すりも三角形の意匠で統一されています。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲屋外に美しい階段があったら、屋内空間にも同様の美しい階段があるのは定説です。地下に広がる展示室への導入は階段です。

こちらはささらが美しい。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲メインの大階段も目を見張るものがあるけれど、サブの階段も壁がまるでルイス・バラガンのように目の覚める真紅です。天井までの大きな窓と目の覚めるような色彩、これは裏動線とは思えません。前川國男の階段愛を感じずにはいられません。

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前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館の椅子

埼玉会館や東京都美術館がそうであるように、ここにも前川國男が手がけたオリジナルの椅子があります。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲可愛い!!感動的な可愛さです。ベンチとその横にセットのサイドテーブル。この空間にマッチしています。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲この椅子は先ほどのベンチの背もたれバージョンです。カラーリングが絶妙で、すごく居心地が良かった。デザインも機能もバッチリです。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館の照明

前川建築で注目したいのは椅子だけではありません。美しい照明も同様なのです。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲カウンター上部に吊り下げられたカッパーのペンダント!モダンで素敵なデザインです。

ちょっとルイス・ポールセンみを感じるデザインですが、直線的で前川デザインの方がシャープでかっこいいいです。何より素材がかっこいい!

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲巨大エントランスのコンクリート天井にあるダブルの筒型のペンダントライトも床のタイルの色と呼応して空間に華やかさを与えています。

シンプルなデザインは、華美になりすぎない知的な華やかさです。

埼玉県立歴史と民俗の博物館の前川國男コーナー

博物館のエントランスロビーには、ちゃんと前川國男建築を意識したコーナーがありました。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲私がそうであったように建築目当てで訪れる人も少なくないのかもしれません。模型や打ち込みタイルの展示などがあります。

ここだけ見る分には入館料を支払う必要はありません。

前川國男設計 埼玉県立歴史と民俗の博物館 写真:建築とアートを巡る

▲博物館の全体を把握することができる模型です。

前々から行ってみたいと思いつつも埼玉県ということで足が遠のいてしましたが、頑張って行ってみて良かった!

大宮公園駅からは徒歩5分なので駅からのアクセスはいい博物館です。

埼玉会館とセットでの見学も距離的に可能なのでおすすめ!

基本情報

埼玉県立歴史と民俗の博物館

9:00~16:30

月休

常設展観覧料:一般300円、高校大学生150円

企画展観覧料:一般400円、高校大学生200円

特別展観覧料:一般600円、高校大学生300円

中学生以下無料

埼玉県さいたま市大宮区高鼻町4丁目219 MAP

アクセス:東武アーバンパークライン(野田線)大宮公園駅下車 徒歩5分

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