慶應義塾大学アートセンターのアートスペースで自身も慶應義塾大学出身である建築家槇文彦による慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に焦点を当てた展覧会が始まりました。早速行ってきましたのでリポートします。

槇文彦/まきふみひこ
槇文彦は、このブログでも度々取り上げてきていますが、日本を代表する世界的建築家の1人です。慶應義塾や東京大学、ハーバード大学で学んだのち、1966年に自身の設計事務所である槇総合計画事務所を設立します。
1988イスラエルのウルフ基金賞受賞、1990トーマス・ジェファーソン建築賞受賞、1993年国際建築家連合(UIA)ゴールドメダルとハーバード大学のプリンス・オブ・ウェールズ都市デザイン賞受賞、1999年にアーノルド・ブルンナー記念建築賞と高松宮殿下記念世界文化賞建築部門受賞など数々の栄誉に輝いていますが、建築家にとって最も名誉あるプリツカー賞を1993年に受賞しています。

1928年生まれなので現在94歳の現役建築家です。
代表作はこのブログでも取り上げている代官山のヒルサイドテラスや表参道のスパイラルをはじめNYの4 ワールド・トレード・センター(通称4WTC)など日本だけにとどまらず世界中に存在します。
NYの4WTCはいつか見学したい建築の一つです。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)
今回の展覧会は、世界中でたくさんの建築を手がけている槇文彦の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの建築にフィーチャーしたものです。
で、実はこの展覧会今回が第二回目で一回目はアートセンターのある慶應義塾大学三田キャンパスにおける槇文彦建築の展覧会でした。
不覚にも身近な方の三田キャンパス編を見逃してしまいました。
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスには行ったことがなく、今後行くことになるかどうかも不明という未開の地ですが、この展覧会で理解を深め見学した気分になりました。

群造形
すでに多くの歴史的建築に囲まれた中に新たな建築を設計した三田キャンパスとは全く異なり、SFC は土地の造成から始めるゼロからのスタートでした。
それゆえ、建築物の設計で環境の創出を大切にする槇文彦にとって、メタボリズムやハーバード時代から提唱し、過去に手がけた立正大学でも試みていた「群造形」をさらに巨大な規模で実現する機会だったのです。
群造形は、共通の因子を持つ複数の建築物が連関することで、それがフレームとなり全体の環境を創り出すもので、個別の建築とそれらをつなぐ関係性を重視した思想です。
それは「ヒルサイドテラス、立正大学で練り上げられSFCで完成をみた」と本人の言葉にもありました。
この展覧会ではそこに着目し大学というコミュニティのデザインにおいて、群造形を用いることで槇文彦が目指すものは何だったのかを考察するものです。

展覧会構成
見ての通り、図面、写真、資料による非常に学術的な展覧会です。

建築に携わっている方、勉強中の方にとっては非常に勉強になる内容です。▲
しかもこの展覧会を凝縮した内容のリーフレットも無料配布しています。ありがたいですね。

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それが無料ですよ!
慶應義塾アートセンターの場所
展覧会を主催している慶應義塾アートセンターが運営する慶應義塾アートスペースは、南別館内にあります。
南別館は大学の正門前にある慶大正門前の信号を渡った正面に位置します。いわゆる三田キャンパスの中ではないのでご注意を。
地図は下記にあります。

すぐ近くの慶應義塾ミュージアムコモンズでやっているのであわせてみたい展覧会▼
基本情報
アート・アーカイヴ資料展XXIII
2022年10月3日 (月) – 12月16日 (金) 11:00–18:00 土日祝休 入場無料 東京都港区三田2-15-45 慶應義塾大学三田キャンパス南別館1F MAP アクセス:JR山手線・京浜東北線田町駅徒歩約9分、地下鉄三田線三田駅徒歩約6分、大江戸線赤羽橋駅徒歩約13分 |