竹橋駅から徒歩2分、皇居のお堀に面した代官町通り沿いで北の丸公園の一角にある5つの国立美術館の一つ東京国立近代美術館は、2022年には日本初のゲルハルト・リヒター展の開催など、アート好き、美術館好きにとっては年に数回必ず訪問する美術館の一つです。
そんな東京国立近代美術館では毎回見逃せない企画展を開催していますが、実は国立の美術館だけあってその所蔵作品を鑑賞できる所蔵作品展=MOMAT Collection展も見逃してはいけません。なぜならその展示内容は定期的に変えられており、毎回新たな発見があるからです。
今回は、定期的に展示内容が変わる所蔵作品展と常設展示されているいくつかのアート作品を紹介します。
▲美術館の設計は谷口吉郎
「宇和島駅」のネオンは大竹伸朗展の時だけ展示されている作品です。
PRMOMAT Collection展
現在、開催されれているMOMAT Collection展=所蔵作品展は、2022年10月12日から2023年2月5日まで開催されているものです。
会期終了後も一部そのまま鑑賞できるものもありますが基本的には展示内容は変わります。
また、この会期中でも前期(10月12日から12月4日)と後期(12月6日から2023年2月5日)で展示内容が変わりました。
後期展示の中から注目すべき作品をピックアップして紹介します。
▲手前の立体はジャン・アルプかと思ったのですが、昆野恆の「生長の形態 No.1」でした。
▲このモビールは、アレキサンダー・カルダーかと思ったら北代省三の「 モビール・オブジェ(回転する面による構成)」でした。
まだまだ勉強不足です。
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須田悦弘
11月に大竹伸朗展を見に来た時、すなわち前期には展示していなかった作品です。
▲作品の設置場所とキャプションの位置の距離!
写真の左端に写っているのがキャプションです、中央に写っているのは、ガラスに反射しているものなので須田作品のキャプションではありません。
要するにキャプションまでの余白含めて須田作品ということなんですね。
▲須田悦弘「百合」1998年もちろん木彫です。
この作品は共に学校教師として青少年教育に長く携わり、そのかたわら現代美術の若手作家を支援し、その作品を積極的に収集してきた上田國昭・克子夫妻の美術品で飾られた自邸「賛美小舎(さんびしょうしゃ)」より寄贈されたものです。
松本路子
松本路子は、1980年代初頭から女性アーティストのポートレートを撮影している写真家です。
▲オノヨーコ1974年の肖像です。41歳の時ですね。
▲こちらは草間彌生1985年、56歳の時の肖像です。
他にも六本木ヒルズにある大きな蜘蛛の彫刻ママンで有名なルイーズ・ブルジョワやニキ・ド・サンファール、シンディ・シャーマンなどの肖像写真がみられます。
これら松本路子作品も橋本治朗氏による寄贈作品です。
2階11室・12室
半分は大竹伸朗展を開催している2階展示室の、11室では「物/場所としての絵画」、12室では「80年代のニューフェイスたち」と題された作品が並んでいます。
実は前述した松本路子の写真作品はこの12室の展示です。
▲ストライプの作品が並ぶ11室の展示風景
ルチオ・フォンタナの作品で始まる2階の展示は全部いいので、必ずみてください。
▲前期だけの展示だったのでもう観られないけれど、李禹煥の「突きより」はちょっと珍しい和紙の作品でした。
とても全部は紹介しきれませんが、いろいろなテーマで他の展示室にもたくさんいい作品が展示されています。
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イサム・ノグチ
ここからはいつでも鑑賞できる常設展示作品をピックアップします。
2022年11月に2回大竹伸朗展を鑑賞するために訪れた時と大きな違いは、1969年の開館時より設置されている巨大な作品イサム・ノグチの「門」の色が変わっていたことです。
▲2022年12月末に青い色に塗り替えられた「門」
この作品、設置されたときの色は「赤」でしたが、その後はイサム・ノグチの指示により、塗り替えのたびに色が変えられました。
結果として最初の「赤」を例外に、「赤+黒」、「青」、「黄+黒」の3ヴァージョンができて、現在この3バージョンを順に繰り返すことになっています。
今回は16年ぶりに「青」に変わりました。
イサム・ノグチが「青」で指定した色は、なんと「東京都の清掃車の色」でした。
そのため、今回塗られた「青」は、1968年当時の東京都清掃局が定めた一般廃棄物運搬車の外部塗装と同じ色(日本塗料工業会規格の72-40T)なんです。
▲同じ場所で撮った写真が夜しかありませんでした。
「赤+黒」バージョンです。
▲これは2021年、美術館の前庭に隈研吾のモバイルハウスが設置されていた時の写真です。
確かに赤と黒ですね。
▲別角度からの「門」です。赤い方の下の方がちょっとダメージがあるようです。
このような傷も今回メンテナンスされたのでしょう。
長らく通っている美術館ですが、「門」の色が黄+黒の記憶が全くありません。
写真がデジタルではない時代だからそのころの記録を探すのは大変です。
でも絶対見てるはずなんだけれどなぁ。
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ソル・ルウィット
3階にある吹き抜け空間「建物を思う部屋」に2020年12月から常設されたのはソル・ルウィットの「ウォール・ドローイング#769 黒い壁を覆う幅36インチ (90cm)のグリッド。角や辺から発する円弧、直線、非直線か ら二種類を体系的に使った組み合わせ全部。」です。
▲4階の階段上から覗き込むようにして鑑賞することもできます。
上からの鑑賞も想定されているのでここにもキャプションがあります。
▲この空間の制作過程の映像を見ることもできます。
元々あった柳宗理のバタフライスツールは健在です。
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アントニー・ゴームリー
誰かが外を眺めている?
いいえ、アントニー・ゴームリーの彫刻作品「反映/思索」です。
▲1人のようですが、実は2人です。中と外で見つめあっているのです。
▲外から鑑賞することもできます。
初台のオペラシティにあるゴームリー作品も2人ですが、かなり離れています。こちらは距離は近いのですが、ガラスで阻まれています。
常設されている作品は屋外にも屋内にもまだありますからぜひ探してみてください。
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MOMAT Collection展は1階で開催している企画展の観覧料で鑑賞することができます。
企画展を観に足を運んだけれど、所蔵作品展もすごく良かった!ということが多々あるMOMAT Collection展です。
ですからここに行く場合は、時間に余裕を持って訪問することをお勧めします。
もちろん、MOMAT Collectionだけの観覧料も設定されているので企画展を観ずに所蔵作品展だけの観覧もできますよ。
▼大竹伸朗展
▼東京国立近代美術館の名作椅子について
基本情報
東京国立近代美術館
10:00-17:00(金・土曜は10:00-20:00) 所蔵作品展 観覧料:一般500円、大学生250円、17時から一般300円、大学生150円 月休(祝休日は開館し翌平日休館)、展示替期間、年末年始休館 千代田区北の丸公園3−1 MAP |