上野の東京国立博物館は敷地内に5つの建物があり、近接した場所に黒田記念館があるので、6つの展示館で構成されています。これら全てが東京国立博物館です。(以下東博)
入場料を支払って敷地内に入ると、正面に日本ギャラリーを有する東博本館、右側にアジアギャラリーのある東博東洋館、左奥に日本の考古と特別展を開催する東博平成館、左側に特別展と催事を行う東博表慶館、左のさらに奥に法隆寺の宝物を収蔵展示する法隆寺宝物館があります。
どの建築も時代ごとの意匠が施され見応えのある建物です。
そんな東博の建築の中でも、このブログでは各館の個性あふれる階段に注目していきたいと思います。
今回は、東京国立博物館で最も古い建築表慶館の階段に注目です。最も見応えのある階段です。
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片山東熊
片山東熊/かたやまとうくま(1854-1917年)は、現在の東京大学工学部の前身である工部大学校を卒業し明治期に活躍した建築家の一人です。
東大では、ジョサイア・コンドルに師事し東京駅の設計で有名な辰野金吾と同期でした。
卒業後は宮内省(現在の宮内庁)に長きに渡り勤務し多くの宮廷建築に携わりました。
このブログでも取り上げた迎賓館赤坂離宮の設計は片山東熊です。
東博 表慶館
1909年(明治42年)に開館しました。現在の東博の6つの展示館の中で最も古い建築です。
1978年には重要文化財に指定されています。
東博 表慶館の外観
ジョサイア・コンドルの影響を感じる中央と左右に3つのドームを配した明治末期を代表する洋館です。当時の皇太子で、後の大正天皇のご成婚を記念して建設されたおめでたい建築です。
エントランスには、両脇に獅子が鎮座しており、見上げると上部にはレリーフが施され、そのモチーフはよく見ると製図用具や楽器だったりします。これがまたいい!中に入る前の注目ポイントです。
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東博 表慶館の内観
外観は東博に赴けばいつでも鑑賞できますが、内部に入れるのは特別展などが開催されている時だけで、常時入れるわけではありません。入れるチャンスがある時に入ってみるのをオススメします。
エントランス空間は外から見えていたドームまで円形に吹き抜けた荘厳な光景を名することとなります。ここで、すでにため息です。
さすが片山東熊は、宮廷建築を数多く手かげているだけあって、贅を尽くした意匠は目を見張るものがあります。
現代ではなかなかつくれないだろう装飾がたくさんあって紹介しきれません。
東博 表慶館の階段
東博の建築の階段の中で最も優美で流麗な美しさを持つ階段を有しています。
▲円弧を描く2方向階段の美しいこと!ここは是非窓が塞がれていいない時に訪れることをオススメします。モザイクやアイアンワークは是非とも自然光で見たいですね。
▲大きな窓と緩やかなカーブ、壁のモールディングと床のモザイク。1回登っただけでは堪能しきれないくらい要素がいっぱいです。
特にこの階段で注目は窓と階段です。窓枠のグリッドにさらに意匠が付け加えられたシャープな印象の大きな窓と流麗な円弧を描く階段が本当に美しい空間です。
おすすめは外部の緑が鮮やかな季節の窓と階段。まるでグリーンのステンドグラスのような美しさです。
そのグリーンが美しい様子はリール動画で是非みて見てください▼
▲明るい窓に向かって登る階段の神々しさったら!たまりませんね。
表慶館は階段以外にも見所がたくさんあります。これまでに特別展で3回ほど中に入っていますが、いつ行っても展覧会そっちのけで建築を見学してしまうほどです。
窓を塞いでしまって暗いパターンの展覧会の時より自然光でこの階段空間が見られる時が好きです。次はここでどんな企画展が見られるのでしょうか。楽しみですね。
基本情報
東京国立博物館 表慶館
開館時間:9:30~17:00 (金・土曜日は~19:00) 休館日:月曜日 観覧料:総合文化展(平常展)観覧料:一般1,000円、大学生500円 企画展は展覧会により異なる 台東区上野公園13−9 MAP アクセス:JR上野駅公園口または鶯谷駅南口下車徒歩10分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅下車徒歩15分、京成電鉄京成上野駅下車 徒歩15分 |