上野の東京国立博物館は敷地内に5つの建物があり、近接した場所に黒田記念館があるので、6つの展示館で構成されています。これら全てが東京国立博物館です。(以下東博)
入場料を支払って敷地内に入ると、正面に日本ギャラリーを有する東博本館、右側にアジアギャラリーのある東博東洋館、左奥に日本の考古と特別展を開催する東博平成館、左側に特別展と催事を行う東博表慶館、左のさらに奥に法隆寺の宝物を収蔵展示する法隆寺宝物館があります。
どの建築も時代ごとの意匠が施され見応えのある建物です。
そんな東博の建築の中でも、このブログでは各館の個性あふれる階段に注目していきたいと思います。
まずは、谷口吉郎設計の東洋館の階段です。まさに名建築の名階段ですね。
PR谷口吉郎
谷口吉郎は、御子息の谷口吉生も建築家で親子二代でで有名建築家です。谷口吉生が独立したばかりの頃はきっと”谷口吉郎の息子”と言われていたのでしょうが、現在はあの”谷口吉生の父”として知られる建築家です。
谷口吉郎が物故であることもあって完全に知名度が逆転しています。東京だと旧ホテルオークラが有名です。現在はご子息がそのレガシーを引き継ぎ谷口吉郎が手がけたロビー空間がそっくりそのまま復元されています。
また、谷口吉郎の故郷石川県金沢市の住居跡地は谷口吉郎・吉生記念金沢建築館になっており、親子二代の功績を鑑賞することができます。
このブログでもいくつか谷口吉郎の建築を紹介していますので是非読んで見てください。
東京国立博物館 東洋館
東博の東洋館は、表慶館、本館に次いで3番目に古い建築で、1968年(昭和43年)に開館しました。今年で56年を迎える建築です。2013年に耐震補強工事を終えてリニューアルオープンしました。
東博東洋館の外観
正面からだと切妻屋根だと気づかないほど緩やかな勾配の屋根を持つ建築です。奈良の正倉院をイメージしているということで、東洋館だけあって庇や列柱など至る所に日本風の要素が盛り込まれています。
▲外観の白いタイルは、東博東洋館の3年前に竣工した代官山にある乗泉寺で使われているものと同じタイルのようです。
東博東洋館の外階段
さて、いよいよ階段に注目です。2カ所の外階段に注目してみました。
1階から地下へ降りる外階段がエントランス横にあります。
▲踊り場を贅沢に取った折り返し階段。手すりもコンクリートでモダニズム建築らしい意匠です。
▲こちらは正面に向かって右側にある外階段です。細長いタイルを横向きに貼った外観のマテリアルに、階段事態は正方形のタイルが細かく貼られています。
地下へ行く外階段は威厳のあるデザインでしたが、こちらは外観のデザインを踏襲し、シンプルに設えられています。
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東博東洋館の館内階段
内部は吹き抜けになっており、螺旋状にぐるぐるまわって展示を鑑賞する動線になっています。ですから階段は重要な動線です。
▲内部の吹き抜け空間は圧巻です。巨大な中国の石仏も小さくみえるほど。
階段は手すりだけが木製で非常にシンプルです。
▲ダークなカラーの階段に、色がついたガラスが手すり下にはまっています。極限まで照明を落とした展示室に合わせたおさえたカラーリングのデザインになっています。
スキップフロアになっているので、どこからでも全体を見回すことができます。
そして、どこへ行くにも階段で移動が基本です。
国立の博物館ですから当然エレベーターもありますからご安心を。
▲内部にも外壁同様のタイルが導入された階段スペースがありました。
石で縁取りされたささらの形状をデザインとして見せた横顔の綺麗な階段です。展示室内と同様に手すりは木製ですが、手すり下は細めの金属が並んでいます。知的なデザインの階段ですね。
東博は、全部見ようと思うと途方もない時間がかかるので、いつも目的の展示と1カ所、2カ所くらいしか回れません。いつか一日中東博!をやりたいと思っています。
基本情報
東京国立博物館 東洋館
9:30~17:00、金・土曜日は~19:00 月曜休館 総合文化展(平常展)観覧料:一般1000円、大学生500円 企画展は展覧会により異なる 台東区上野公園13−9 MAP アクセス:JR上野駅公園口または鶯谷駅南口下車徒歩10分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅下車徒歩15分、京成電鉄京成上野駅下車 徒歩15分 |