奈良県にある泊まれる安藤忠雄の住宅建築を拠点として、奈良・大阪で建築とアートを巡る旅をしてきました。
特に関西の建築好きの方には既知の情報だと思いますが、JR奈良駅前は往年の建築家の名建築が3つみられます。
磯崎新、アルド・ロッシ、黒川紀章の建築です。
いずれも徒歩圏内で駅から5分以内というアクセス抜群な立地なので、3つ全てを訪れてみてください。
PRなら100年会館(磯崎新)
奈良市制100周年を記念して1999年に開業した磯崎新設計の建築です。
大ホールの収容人数が1,692人という奈良県で最大の収容人数を誇る多目的ホールです。大ホールの他に中ホール、小ホールと3つのホールを有します。
その外観は非常に特徴的で、近年の藤森照信の建築を彷彿とさせる有機的なカーブが目を惹きます。
この建築は「奈良の文化を育て、世界に発信するまさに“文化の船”」がコンセプトだそうです。
なら100年館は、外壁と屋根を同時に施工する「パンタドーム構法」によって建設されました。
それは、まるで電車のパンタグラフのようにくの字に折りたたんだ228枚の外壁パネルを楕円形の屋根部と一緒に地上で組み立てて、 64台のジャッキを使って押し上げるもの。
4,700tの重量を6日間かけて13.4m押し上げる過程をなんと一般公開し、 奈良市民をはじめ、海外からの見学者を含めて約3,000名が見学したのだそうです。みたかった!
▼磯崎新建築
基本情報
なら100年会館
開館:1999年 住所:奈良県奈良市三条宮前町7番地1号 MAP |
ホテル日航奈良(アルド・ロッシ)
ホテル日航奈良は、イタリア人建築家のアルド・ロッシの遺作と言ってもよい建築です。ホテル日航奈良が1998年に竣工した時はすでにアルド・ロッシは亡くなっており(1997年没)、その完成を見ずにこの世を去っています。
アルド・ロッシは、福岡のホテル・イル・パラッツォを筆頭に、青山の色彩豊かな旧アンビエンテ・インターナショナル(現ジャスマック)や黄色が印象的な浅葉克己デザイン室など日本での仕事も数多く手掛けています。
▲ホテル日光奈良は、現ジャスマックやホテル・イル・パラッツォなどに比べると、落ちついた色彩です。
▲内部に入ってみたのですが、ところどころアルド・ロッシ味が感じられるデザインが残っていました。
青山のアルド・ロッシ建築▼
基本情報
ホテル日航奈良
開業:1998年 住所:奈良県奈良市三条本町8-1 MAP |
奈良市営第1号コミュニティ住宅(黒川紀章)
JR奈良駅3つ目の建築は黒川紀章が90年代初頭に手掛けた住宅建築です。住宅と言っても集合住宅で、カラーリングといい、波打つようなファサードのデザインといい、想像以上に目を惹く建築でした。
▲今でも現役バリバリの住宅なので、遠目からその外観を眺めることしかできませんでしたが、優雅な曲線の内部がどうなっているのか興味津々です。この緩やかな曲線は晩年の国立新美術館につながっていくのでしょう。
上部はメゾネット形式の住宅で下部のチャコールグレー部分は、フラットタイプの住戸という構成です。
▲俯瞰で見るとVの字型をしている建築です。90年代に既にこんなデザイン性の高い公営住宅があったなんて驚きです。
竣工が1989年説もありますが、奈良県のHPで記録を調査したところ92年竣工が正しい竣工年ということがわかりました。
▼黒川紀章建築
基本情報
奈良市営第1号コミュニティ住宅
竣工:1992年 住所:奈良県奈良市三条本町1-93 |