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建築の神様からの贈り物

建築の神様からの贈り物 vol.17 磯崎新 設計 原美術館ARC
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2021年1月に惜しまれつつも閉館した品川の原美術館の現代美術のコレクションが、伊香保にあるHARA MUSEUM ARC(ハラミュージアムアーク)に移設され、原美術館ARCとして2021年4月にリニューアルオープンした。

品川の原美術館の開館が1979年、伊香保のハラミュージアムアークの開館はその11年後1988年。どちらもこれまでに何度も足を運んでいる。

私が最初に伊香保の原ミュージムアークを訪れたのは90年代初頭だ。品川の原美術館の初訪問は80年代まで遡る。

品川の原美術館は、渡辺仁設計の原家が住んでいた邸宅を美術館として改築した非常に珍しい美術館だった。さらに、当時はなかった現代美術だけを展示する先進的な美術館でもあった。

しかし、元邸宅だけあってその立地は非常に静かな住宅街だ。静かな高級住宅街の瀟洒な洋館で見る現代美術のコレクションは、非常に斬新で都会的だった。いや原美術館の存在そのものが非常に都会的だった。

そんな原美術館とは打って変わって、ハラミュージアムアークは、豊かな自然に囲まれた広い広い敷地に鎮座する磯崎新設計による真っ黒な美術館だ。

その建築は、北品川の洋館とは正反対のシンプルでありながら和の雰囲気を持つ落ち着いた美術館建築だ。

2008年には増築が行われ原美術館のオーナーの曽祖父原六郎から受け継いだ古美術と独自に収集した現代美術を合わせて展示するギャラリー「觀海庵」が新設された。

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この旧ハラミュージアムアークで現在の原美術館ARCの建築の神様からの贈り物は、春にだけしか見られないとんでもなく美しい景色だ。

広い芝生広場に設置されたオラファーエリアソンの作品を挟んで、美術館と向かい合うように八重桜の木々が植えられている。この八重桜が東京よりちょっと遅れて見事な花を咲かせるのだ。

八重桜でピンク色に染まったその先には、青い空の下に赤城山の山並みが雄大な景色を見せてくれる。

この景色を目にしただけでここにきて良かったと思わせてくれる風景だ。東京より一足遅れて咲いてくれるのも嬉しい。都内と伊香保と2回八重桜を楽しむことができるからだ。

桜は何度見ても美しいし、何度見ても飽きることなんてないのだ。

原美術館ARC

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