2021年3月に銀座の並木通り沿いにニューオープンしたLouis Vittonはこれまでルイ・ヴィトン(LV)の店舗設計を数多く手がけてきた青木淳にとって12軒目、銀座では4軒目のショップになる。
今回のLVは、これまでとはだいぶ違う。そのファサードはこれまでにみたことのないものだ。緩やかに波打つファサード多い尽くしているのは、まるで水面の反射のような光を放っている。コンセプトは水の柱だそうだ。確かに水の柱のように見える。秘密は外壁を覆っているガラスにある。
外側に曲面の合わせガラス、内側に複層ガラスが設置されている。特に色の変化に重要なのが、外側に用いた合わせガラスの存在だ。
2枚のガラスをくっ付けた合わせガラスは、外側にくるガラスの内面に、オレンジの光だけを反射する”ダイクロイック”を蒸着させているのだ。
外観がオレンジ色に見える時は、このダイクロックの反射が強いということになる。
また、オレンジ以外の光が”ダイクロイック”を透過し、合わせガラスのもう1枚のガラスに到達する。そしてそのガラスの内側に張った”グラデーションフィルム”が反射した時は、青く見えるのだ。
さらにガラスが波打っているのでその角度や見る位置によっても色が変化する。変幻自在な理由はそこにある。
実はファサードのガラスに色はついておらずガラス自体は透明なのだ。
なので、実は全く窓がないように見えるこの建築だが、内部からはフィルムの貼ってない部分からうっすらと外が見えるようになっている。
ちなみにショップ店内の設計は、青木淳は全く関わっていない。
ピーター・マリノが主宰するPETER MARINO ARCHITECTとエイチアンドエイが手掛けている。
7階に併設したカフェ「LE CAFE V(ル・カフェ・ヴィー)」はの設計は乃村工芸社A.N.D.が担当した。
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銀座並木通りの巨大な変幻自在な水の柱。近くに来たら否が応でも目に入るので、みたことがないと言う人は、きっとLVの前を通っていないのだ。
そのくらい目立っているし、目に入る存在だ。
光の強さや角度で見える色が変わるので、季節時間天気以外にも立ってLVを見上げる位置によって全く違う表情を見ることができる建築なのだ。
見るたびに違って見えるこのビルのファサードは逆を返せば、2度と同じ表情を見ることは不可能なのかもしれない。
LV銀座並木通り店の存在そのものが建築の神様からの贈り物と言ってもいい。