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黒川紀章 取り壊しが決まった解体直前の中銀カプセルタワービルを見学 その1


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見学会

2021年のある曇天の日に、取り壊しが始まる寸前の中銀(なかぎん)カプセルタワービルの見学に行ってきました。

事前にweb上で予約をすれば、あとは当日時間になったらビルの入口前に集合するだけで参加可能です。参加費は1人3000円で当日見学終了後に現金にて支払います。

重要 : 2022年1月末でカプセルタワービルの見学は終了しました。いよいよ2022年4月12日から解体工事が始まります。(解体工事期間:4/12-12/29)

この”カフセルタワーヒル”のサインの前で集合です。

黒川紀章 中銀カプセルタワービル

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現地集合

主催は中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトで、見学会だけでなく1ヶ月から賃貸できるマンスリーカプセルなど、カプセルタワーの周知・広報・保存に向けてさまざまな活動をしている組織です。

当日一緒に見学するのは全部で5名でした。定員は6名だったようです。主催者1名が入口から案内してくれます。撮影は可能ですが、1Fの内部だけは郵便ポストがあったりして個人情報があるので撮影禁止です。それ以外の場所は自由に撮影可能でした。

また中銀カプセルタワービルに関しての関連書籍もいくつか出版されています。Amazonからどうぞ▼

カプセルは見ていたけれど、その他の部分ってちゃんと見ていませんでした。

よく見ると角アールなデザインです。▼

黒川紀章 中銀カプセルタワービル

 

黒川紀章 中銀カプセルタワービル

花壇もハニカム。きっとこれもカプセルの集合体をイメージしてデザインされたのではないでしょうか。しかし、土が入って花壇の体を成しているのは1個だけです。

まるでカプセルタワーと同じ経過を辿っているようでちょっと悲しげです。▼

黒川紀章 中銀カプセルタワービル

見学スタート

まずは、6人乗りの非常にコンパクトなエレベーターに2回に分けて登ります。最上階12FのA棟とB棟をつなぐデッキで説明が始まりました。この見学会の回数を重ねてきている経験値の高さと中銀カプセルタワービルへ愛の深さから、説明は非常にスムーズで的確、質問にもスラスラと返答くださり非常に分かりやすい解説でした。

カプセルタワーの様子を是非動画でもご覧ください。

A棟とB棟を繋ぐ12Fのデッキからの眺め▼

黒川紀章 中銀カプセルタワービル

 

黒川紀章 中銀カプセルタワービル

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メタボリズム

中銀カプセルタワービルは黒川紀章設計で1972年竣工の黒川紀章初期の代表建築であり、メタボリズム建築のアイコン的な存在です。

メタボリズムはご存知の通り新陳代謝の意味です。新陳代謝すなわち当初はこのカプセルが交換できるというコンセプトで建設されたのです。

しかし、49年が経過した現在までに一度も、いや一個も交換されたカプセルはありません。

というのも、構造的に1個だけカプセルを取り外すことは不可能だからです。取り外すのであれば、建設した時に設置した順番の逆に上から順番に取り外していかなければなりません。

カプセルを近くから見るとやはり劣化が激しいです。▼

黒川紀章 中銀カプセルタワービル

メンテ不可能

カプセルの取り外しが不可能ということは、すなわちさまざまなメンテナンスも不可能ということになります。

特に設備に関してはカプセルとカプセルの間に人が入ってメンテナンス作業をすることができないので、老朽化が激しく、すでに8年くらい前から全ての部屋のお湯が出ないそうです。

それでも、現在、住居として使用している人が10人位いて、あとは他に家があるけれど別宅として所有している方、残りはオフィス使用の方が多いそうです。完全に住居として使っているのは圧倒的に女性で、共同のシャワー室や近隣の銭湯に行ってるそうです。

そこまでしてここを住居にするっていうのもなかなかの強者です。

黒川紀章 中銀カプセルタワービル

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見学参加者

見学に参加するのも最近は女性がとても多いそうです。以前は建築関係の方が多かったそうですが、現在はレトロ好きとか、廃墟マニアの方が参加したりするそうです。廃墟マニアの方が来た時は中銀カプセルタワービルもとうとうそういうフェーズに入ったか、と思ったそうです。まだ実際に居住している人がいるのですから、廃墟ではないですよね。

個性あふれるカプセルについてこんな本が出ています▼

黒川紀章 中銀カプセルタワービルを見学 その2に続きます。

中銀カプセルタワービル

中央区銀座8丁目16−10 MAP

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