日本に住んでいたこともあるイギリスはロンドン出身の建築家ジョン・ポーソン/John Pawsonの展覧会が表参道・原宿で開催されています。場所はキャットストリート沿いで1階にCHANELの入る商業施設GYREの裏側にあるギャラリーThe Mass/ザ マスとその隣のStandBy/スタンドバイの2か所です。
The Massの方では、写真家としてのジョン・ポーソンの仕事を見ることができます。
半屋外の特殊なスペースStnadByでは、瞑想を促す立体作品が設置され神聖で特別なインスタレーション空間となっています。
日本との縁が深いジョン・ポーソンの日本初個展の様子をご紹介します。
PRJohn Pawson
ジョン・ポーソンと言っても日本ではなかなかその名前を知っている人は多くはありません。かくいう私もあまりよく知らないうちの1人です。
建築家としてのジョン・ポーソンは、表参道のジル・サンダー旗艦店の内装を手がけているくらいしか知りませんでした。ましてや写真家としての顔は、今回の展覧会で初めて知ったくらいです。
ただ、その名前は以前より伝え聞いてはいました。というのも若かりし頃に来日し、名古屋の商科系の大学で英語の先生をしていたジョン・ポーソンが、ある日クラマタデザイン事務所を訪ねてくるようになったという話です。
ジョン・ポーソンは、時折事務所にやってきては、事務所内にあるデザイン関係の本を読んだり、倉俣さんと話をしたりしていたというのです。ただ、ジョン・ポーソンは日本語を話すことはなかったので、倉俣さんとの会話と言ってもディスカッションを重ねるというようなものではなかったようです。
実際、クラマタデザイン事務所のスタッフでもなければ、インターンでもなく、吉岡徳仁のようにアルバイトに来ていたわけでもないそうで、本当に”時折訪ねてくる人”だったということです。
ただ、倉俣さんと出会ったことをきっかけにロンドンに戻り、AAスクールに通って建築家としての道を歩むことになったわけですから、日本と倉俣史朗というデザイナーの存在は、ジョン・ポーソンにとっては、その後の人生に関わる大きな存在であったことは確実です。
やっぱり倉俣史朗という人は影響力のすごい人だったということがこのエピソードでよくわかります。
時折訪ねてくる人や、アルバイトに来ていた人にまで、その後の人生を変えるくらい多大な影響を与えているのですから。
そしてその方々が、成功しているのもまたすごいことです。
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The Mass
The Massの一番広い展示スペース1には、壁面に写真作品が並びます。
▲展示室1では、被写体が彼自身の生活環境そのものである「Home」シリーズが並びます。
特筆すべきは、展示室2と3のスペースです。
まるで、ジョン・ポーソン本人の美しいInstagramの投稿がそのまま飛び出てきたような印象を受ける空間です。
1、2は、「Spectrum」のシリーズからセレクトされた作品が展示されています。
色調毎に並べられたイメージはジョン・ポーソンの建築的観点を見ることができます。また、その展示方法も含めて空間全体が一つのインスタレーション作品と言えるでしょう。
▲インスタグラムが初期の頃、まだ投稿写真が、正方形のみで複数枚アップできなかった頃を思い出してしまいました。
美しい風景が切り取られた写真が浮遊するとても静謐な空間です。
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StandBy
お隣のStandByは、ジョン・ポーソンの瞑想空間が作品です。
瞑想できるこの立体作品は、三日月形の形状から 「Lunula」と名付けられています。
ジョン・ポーソンはこの作品で、空間、表層、光、香り全てをシームレスに体験できる、唯一無二の世界をつくり出しました。
▲半屋外の空間にお香が置かれ、非常に日本的な雰囲気を醸し出しています。
▲ここに座って瞑想して見ましょう。心が鎮まり整うことでしょう。
▲お寺を想起させるしつらえですね。ジョン・ポーソンなりの日本へのリスペクトなのでしょうか。
鑑賞するだけでなく体験できる展覧会です。
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基本情報
John Pawson 2023年4月14日(金) – 5月14日(日) 12:00〜19:00 月火休 入場無料 東京都渋谷区神宮前5-11-1 MAP |