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非公開の名建築 kudan house で開催「CURATION⇄FAIR」で「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」展


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九段下にある通常一般には非公開の名建築「旧山口萬吉邸」ことkudan houseで新しいアートイベント「CURATION⇄FAIR」が開幕しました。特別内覧会にて一足早く鑑賞してきましたので、早速レポートしたいと思います。

東京メトロ九段下の駅から徒歩で5分ほど、靖国神社に程近い場所にその邸宅はあります。

近年竣工したと思われる建築が建ち並ぶ中で、あと数年で築100年の邸宅は、その高い塀からして周囲とは様子が違います。ですからすぐにわかるはずです。

CURATION⇄FAIR 《美しさ、あいまいさ、時と場合に依る》kudan house、2024年 写真:建築とアートを巡る
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kudan house(旧山口萬吉邸)

新しいイベントの会場となるのは、九段下の瀟洒な邸宅、旧山口萬吉邸ことkudan houseです。kudan houseは、1927年竣工で東京タワーを手掛けた内藤多仲をはじめ、木子七郎、今井兼次らの設計によるスパニッシュ形式の邸宅です。

スパニッシュ様式の外観ですが、内部には来客用の和室、大理石の階段、庭に面したスクリーンポーチなど、多種多様な空間で構成されています。

CURATION⇄FAIR 《美しさ、あいまいさ、時と場合に依る》kudan house、2024年 写真:建築とアートを巡る

また、現在も一部残る当時の家具・建具装飾は、山口萬吉氏の強いこだわりが随所に反映されており、その費用は建物とほぼ同額だったと言われています。

2018年登録有形文化財に指定され、邸宅の所有者から東京急行電鉄、竹中工務店、東邦レオが3社共同でマスターリースして、会員制のビジネスイノベーション拠点に生まれ変わりました。

渡辺始興《桃に三牛図》CURATION⇄FAIR 、kudan house、2024年 写真:建築とアートを巡る

というわけで戦火を逃れた貴重な名建築は、普段は会員制の倶楽部として機能しています。これまでに様々なイベントで4回ほど訪れており、通常非公開の名建築に今回は5回目の訪問となりました。

川端実《カントリー》CURATION⇄FAIR 、kudan house、2024年 写真:建築とアートを巡る

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美しさ、あいまいさ、時と場合に依る

「CURATION⇄FAIR Tokyo」は、「時間」を軸に展覧会とアートフェアを展開する全く新しいアートイベントです。展示会場となるのは、地下、1階、2階、3階の4フロアです。展覧会と言っても、余裕を持った展示なので、戦前の名建築の贅沢な空間を体感しながらゆっくり鑑賞できるように作品が贅沢に配置されています。

展示風景、CURATION⇄FAIR 《美しさ、あいまいさ、時と場合に依る》kudan house、2024年 写真:建築とアートを巡る

展覧会タイトルの「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」は、世界で活躍するインデペンデント・キュレーターの遠藤水城が川端康成と大江健三郎の作品からインスパイアされたもの。でまるで詩のように美しいタイトルです

《信楽焼》、川端康成《有由有縁》、CURATION⇄FAIR 《美しさ、あいまいさ、時と場合に依る》kudan house、2024年 写真:建築とアートを巡る

もちろん、展覧会のキュレーションは遠藤水城が手がけています。展示されている作品は古美術から現代美術まで幅広く、技法も時代もジャンルもボーダレス。戦前の貴重な名建築の瀟洒な空間で見る美術作品は、美術館空間で見るのとは全く違う体験をさせてくれます。

杉浦玲那《Years》CURATION⇄FAIR 《美しさ、あいまいさ、時と場合に依る》kudan house、2024年 写真:建築とアートを巡る

展覧会とアートフェア

「CURATION⇄FAIR Tokyo」が新しいのは、展覧会とアートフェアの二本立てであることです。まずは、2月21日- 3月3日まで展覧会が開催されます。その後アートフェアが同じくkudan houseを会場に3月9日(土) – 3月11日(月)の日程で開催されます。

展覧会とアートフェアでは、展示内容や出品作品が変わるので、展覧会もアートフェアも両方足を運んでおきたいイベントです。

CURATION⇄FAIR 《美しさ、あいまいさ、時と場合に依る》kudan house、2024年 写真:建築とアートを巡る

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ダンサーと赤い光

展示室で異常にゆっくりと歩いている女性を見かけました。パフォーマーかな?と思ったらやっぱりダンサー・振付師の方でした。

首から「スタッフ」のタグを下げていたので、鑑賞者ではないとすぐにわかったのですが、最初はそのような演出があることを知らなかったので、不思議な動きをしている人だなと凝視してしまいました。

青木野枝《立山 2020-14》、野口里佳《Men and Trees#1,#2》CURATION⇄FAIR 《美しさ、あいまいさ、時と場合に依る》kudan house、2024年 写真:建築とアートを巡る

どういうタイミングでダンサーの方が邸宅内にいるのかはわかりませんが、見るべきはアートと建築以外にもあるので注意です。

また、邸宅内の所々に赤い裸電球が置かれています。これは展示構成を担当したアーティストの五月女哲平による演出です。

ですから、赤い光とダンサーもみどころのひとつです。

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地下の展示

地下は、山口県出身で昭和を代表する洋画家香月泰男の油彩3点と現代美術アーティストの橋本聡のインスタレーション作品が展示されています。

香月泰男《机の上》《流れ》、橋本聡、CURATION⇄FAIR 《美しさ、あいまいさ、時と場合に依る》kudan house、2024年 写真:建築とアートを巡る

香月泰男の油彩に囲まれた空間の中央にあるのは、橋本聡のカレンダーの作品。カレンダーと言っても普通のカレンダーではありません。

未来永劫ずっと使用可能なカレンダーです。こちらは1枚持ち帰ることができます。輪ゴムの用意もありました!

また、隣の展示室の1円も持ち帰っていいそうです。

橋本聡、CURATION⇄FAIR 《美しさ、あいまいさ、時と場合に依る》kudan house、2024年 写真:建築とアートを巡る

橋本聡の作品は、カレンダーの作品だけでなく他にも参加型のものがありました。「自身に塗れ」と題された作品は見ているだけでなく、ぜひタイトルの通り、自身に塗ってみてほしい作品です。ちなみに私はやっていません。

この地下空間は富にコンセプトである「時間」を感じさせる展示構成となっていました。

香月泰男《机の上》、橋本聡、CURATION⇄FAIR 《美しさ、あいまいさ、時と場合に依る》kudan house、2024年 写真:建築とアートを巡る

物故作家と現代美術作家のコラボレーションもさることながら、その現代作家の作品コンセプトに通底するのは「時間」です。

また、それと同時に戦火をくぐり抜け今も尚、時を刻む貴重な名建築での展覧会は、時の積み重ねを意識せずにはいられません。

まさに、建築とアートを巡ることができるこの新しいアートフェアの展覧会必見です。

ちなみに前回訪問したとき、建設中だったお隣の永山祐子設計のオフィスビルが竣工していました。

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基本情報

EXHIBITION「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」

2024年2月22日(木) – 3月3日(日)

平日 :10:00 – 21:30

土日祝:10:00 – 21:00

一般 前売:2,200円/当日:2,500円

学生 前売:1,200円/当日:1,500円

障がいのある方前売:1,100円/当日:1,250円

千代田区在住・在勤の方 前売:1,700円/当日:2,000円

ART FAIR

2024年3月9日(土) – 3月11日(月)

11:00 – 19:00

一般 前売:2,500円/当日:3,000円

学生 前売:1,500円/当日:1,800円

障がいのある方 前売:1,250円/当日:1,500円

千代田区在住・在勤の方 前売:2,000円/当日:2,500円

kudan house

千代田区九段北1-15-9 MAP

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