ルイ・ヴィトン表参道店の7階にあるエスパス・ルイ・ヴィトン東京でケリス・ウィン・エヴァンスの個展「L>espace)(…」 が始まりました。
ケリス・ウィン・エヴァンスのインスタレーション作品は、ネオン管を使った作品なので、昼、夕方、夜と光の変化のある時間帯に訪問してみました。
どの時間帯に訪問するかの参考になったら嬉しいです。
また、今後季節や天気の変化も観察していきたいと思います。

ケリス・ウィン・エヴァンス
1958年イギリスのウェールズ生まれのケリス・ウィン・エヴァンスは、ロンドンのセント・マーチンズ・スクール・オブ・アート卒業後、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのフィルム & テレビジョン専攻の修士を卒業しています。
その後2年間、映画監督デレク・ジャーマンの助手を務めた後に、個人としてのアーティスト活動を開始します。
ダンスやロック(例えばポストパンクバンド The Fallの ”Cruiser’s Creek”)などを題材にした映像制作を経て、1988年に短編映画「ディグリーズ・オブ・ブラインドネス」を発表しました。
80年代は主に短編実験映像作品を多く手がけていましたが、90年代以降その表現媒体はネオン、音、鏡、花火など多様性を帯びてきます。
日本での近年の活動としては、2020年のポーラ美術館での個展、2018年と2023年の2回に渡り開催した草月会館イサム・ノグチの「天国」でのインスタレーションが印象的でした。
日本でのプライマリギャラリーのタカイシイギャラリーでも2023年4月に個展を開催したばかりです。

「L>espace)(…」の展覧会構成
「L>espace)(…」は作家本人が命名した正式な展覧会タイトルです。なんて読むのかな?次回訪問したら聞いてみます。
今回の個展に展示されている作品5作品は全てパリのフォンダシオン ルイ・ヴィトン所蔵で、表参道にエスパス・ルイヴィトン東京が開館する前の2007年に収集されたものです。
3面がガラス張りで自然光がふんだんに入るこのスペースの特徴を生かした作品の配置となっています。
また、ネオン作品の光を目立たせるために、日中にロールスクリーンをおろしたりすることはせずに、あえてこの空間の自然光に溶け込むように構成するのがアーティストの意図なんだそうです。
ですから、自然光が刻々と変化していく様も含めて空間が全体が一つの作品と言えるでしょう。

▲ネオン管はついたままですが、シャンデリアの光は明滅しています。
このシャンデリアの光の瞬きがモールス信号になっていて、壁面に設置されているモニターに流れるテキストを光として発信している作品です。
このテキストは作曲家で建築家、エンジニアでもあったヤニス・クセナキスが指揮者ヘルマン・シュルヘンに宛てた手紙からの引用です。
昼のケリス・ウィン・エヴァンス展
この天井の高いガラス張りの大空間が気持ち良いのはやはり昼間、日中の光です。

ネオン管の作品は右奥「…in which something happens all over again for the very first time」(2006年)、と左手前「Sentiment」
(2010年)の2作品です。

20本のガラス製フルートによる演奏が定期的に行われる「A=F=L=O=A=T」(2014年)中央一番奥と
「”Lettre à Hermann Scherchen” from ‘Gravesaner Blätter 6’ from Iannis Xenakis to Hermann Scherchen (1956)」(2006年)手前シャンデリアとモニター
「STILL LIFE (IN COURSE OF ARRANGEMENT…) II」(2015年)はターンテーブルに乗った回転する赤松の作品の5点で構成されています
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夕方のケリス・ウィン・エヴァンス展
一番、短時間で変化が著しいのがマジックアワーの時間帯です。

▲ネオンの作品の光も見やすくなり、時折ガラスのフルートが奏でる切ないメロディも日没の時間が一番親和性が高いかもしれません。

▲だいぶ暗くなってきました。外のビルにも灯りが点ります。

▲夕やけの空に佇む赤松の作品。
この赤松が乗っているターンテーブル、実はゆっくりと回転する作品です。
しかし、昼間に訪問した際は回転していたのですが、夕方に行ったら「調整中」で止まっていました。
2023年4月のタカイシイギャラリーでの個展の際も調整中で止まっていました。回転している様子が見られるのは実はレアなのかも!?
どうやら赤松に水をあげると重くなって回転しづらくなるんだとか。
水をあげないわけにはいきませんから悩ましいですね。
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夜のケリス・ウィン・エヴァンス展
完全に陽が落ちて外は真っ暗になりました。

▲夜景と溶け込むケリス・ウィン・エヴァンスの作品群。
影も美しいケリス・ウィン・エヴァンス展
夜になると顕著に姿を現す作品の影もまた美しい。

▲草月会館での展覧会でもそうでしたが、ガラスのフルートによる演奏があるので、一定時間は滞在しましょう。
フルートが奏でる不思議なメロディで満たされたインスタレーション空間は、より幻想的になります。

この展覧会から11:00-19:00だった開館時間がコロナ前の12:00-20:00に戻りました。
ですから、真夏でも日没後のしっかり夜になった様子も鑑賞することが可能です。
2023年4月に開催されたタカイシイギャラリーの個展▼
ケリス・ウィン・エヴァンス展の撮影について
写真撮影、動画撮影ともにOKです。
入場無料ですし、会期も長いので都内在住の方は再訪可能ですね。
基本情報
ケリス・ウィン・エヴァンス個展「L>espace)(…」
12:00-20:00 入場無料 休館はルイ・ヴィトン 表参道店に準ずる エスパス ルイ・ヴィトン東京 東京都渋谷区神宮前5-7-5 MAP アクセス:東京メトロ表参道駅徒歩2分、東京メトロ明治神宮前駅徒歩5分、JR原宿駅から徒歩10分 |