東京駅の目の前に位置し、今や丸の内の顔となったKITTEとJPタワーは、日本郵便が旧東京中央郵便局舎の大改装をして2013年に誕生した複合施設です。その中に入るJPタワー学術文化総合ミュージアム 「インターメディアテク」は、日本郵便と東京大学総合研究博物館の産学協働によるミュージアムで、あの秋篠宮家の長女眞子さまも通勤していたことでも有名です。
そのJPタワー学術総合ミュージアムのインターメディアテク内に2015年誕生したのが、今回紹介するギメルームです。
インターメディアテクとは
インターメディアテクは、東京大学が明治10年の開学以来蓄積してきた学術標本や研究資料などの貴重な学術文化財を常設しています。さらに、これまで文化財の保管庫であり、単に学術文化財を展示するという従来の役目の域を超え、アート&サイエンスをキーワードに既存の資源や表現メディアを融合した実験の場として開設されました。
空間デザインは、既存資源を最大限に活用し、古いけれど新鮮で独創的な空間と展示が実現されています。使い古された学術標本や什器、そして既存の床の活用など、建築を含めてトータルにリ・デザインされ、これまでにないレトロフューチャリズムの世界が完成しました。
JPタワーの建築は隈研吾ですが、インターメディアテクの空間デザインは丹青社と八雲茶寮をはじめとしたハイセンスな食の店を多数デザイン、運営する緒方慎一郎の主宰するSIMPLICITY/シンプリシティです。
▲インターメディアテクは一部エリアを除いて撮影禁止です。→一部撮影禁止のものがあります。
ギメルームとは
東京大学総合研究博物館が、仏リヨン市より、アジア美術の蒐集家として知られるエミール・ギメ(1836-1918)ゆかりの古展示ケース6台の寄贈を受けたことから、インターメディアテクの入口の空間を「ギメ・ルーム」へと改変し常設展示『驚異の小部屋』が開設されました。
エミール・ギメとはフランスリヨンで化学者の父と画家の母の元に生まれ、父の開いた青色顔料の工業生産で財をなした実業家であり、エジプト旅行をきっかけにオリエントから東アジアに至る、非ヨーロッパ圏の美術文化財を数多く収集した蒐集家です。
1879年にリヨンにギメ宗教博物館を設立し、1989年パリに移転しフランスに寄付されフランス国立ギメ東洋美術館となりました。
展示ケース
で、今回インターメディアテクに寄贈されたのは、あくまで展示ケースです。ですから中身は、これまでに東京大学総合研究博物館が蒐集してきた自然史から文化史までの選りすぐりの学術標本コレクションが収められています。
ですから、この空間はエミール・ギメと東大とのコラボレーション展示というわけです。
しかも、このようなすごい展示が入場無料で見られちゃうんですから、ありがたいです。
日本訪問
エミール・ギメは1876年に来日しています。その際、作品を通して知った河鍋暁斎を訪ね、親交を交わしたとされています。また、日本滞在中には、廃仏毀釈のために焼却の危機にあった膨大な仏像・仏具を収集していきました。その後も日本に対する情熱は衰えませんでしたが、再訪は叶わず1918年に亡くなっています。
収集品と同時に、フランスで東アジアの古文物を展示するためにデザイン・製作された展示ケースもよーく観察してみましょう。
撮影可能に
実はギメルームは通常写真撮影禁止です。
2023年より撮影可能になりました。
しかし、年末になると「ギメルームでクリスマス」と題して、通常撮影禁止のギメルームが期間限定で撮影可能になります。
ちなみに昨年は2022.11.29-2022.12.25の約1ヶ月間撮影可能でした。2023年から撮影可能になりました。(一部作品を除く)
今年もクリスマスシーズンに撮影可能になるといいですね。
ギメルーム訪問の際は、中身と同じくらい什器を鑑賞してください。
展示ケースありきでスタートした珍しい展示ですから。
基本情報
JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
11:00-18:00(金・土は20時まで開館)月休 入場無料 東京都千代田区丸の内2丁目7−2 KITTE2・3階 MAP アクセス:JR東京駅丸の内南口から徒歩1分/丸ノ内線東京駅地下道より直結、千代田線二重橋前駅(4番出口)徒歩約2分 |