谷中にあるSCAI THE BATHOUSE/スカイザバスハウスは、元銭湯だった建物をリノベーションした個性的でユニークなスペースの現代美術のギャラリーです。
柏湯
SCAI THE BATHHOUSEの建物は、元々200年の歴史のある柏湯と言う銭湯でした。柏湯をリノベーションしてギャラリーとして生まれ変わったのは1993年です。ですから既にギャラリーとしても約30年の歴史があるわけです。
小さな暖簾やギャラリー名が書かれた照明など、銭湯の雰囲気を残しているところがとても個性的で可愛いです。現在はコロナで少なくなりましたが、海外から来た人がタクシーで乗り付けてわざわざ訪問するくらいギャラリーとして有名な場所です。▼
PR白石コンテンポラリーアート
SCAI THE BATHHOUSEの前身は、白石コンテンポラリーアートで、オーナーは白石正美氏です。
OBのギャラリスト
白石コンテンポラリーアート時代には、現在六本木のcomplex 665に拠点を持つ小山登美夫ギャラリーの小山氏がスタッフとして働いていた事があります。
元銭湯にギャラリーを設立したきっかけは、「谷中の歴史のある柏湯が取り壊されそうで、もったいないから残そうと思う」と、柏湯の近所にある東京藝大出身の小山氏を通じて話があったそうです。
そこで、現地を見に行ったらこれはいい!と言うことになり、白石コンテンポラリーアートから現在のSCAI THE BOTHHOUSEに名前を変えて現代美術に特化した現在のギャラリーがスタートしました。それが、前述した1993年の事です。小山氏は、SCAI THE BATHHOUSEの立ち上げに関わった後、1996年に独立して恵比寿で小山登美夫ギャラリーを開設します。
元フジテレビギャラリー
白石氏ご自身は、今はなくなってしまったフジテレビギャラリーのご出身です。フジテレビギャラリーは、まだ曙橋にフジテレビの本社屋があった頃にあった現代美術のギャラリーで、草間彌生などを取り扱っていました。私も最初に草間彌生の銀色のソフトスカルプチャーシリーズを観たのはフジテレビギャラリーでした。現在、お台場にある同名のスペースは、当時のギャラリーとは全く無関係のテレビ局の宣伝スペースです。
フジテレビギャラリー出身のギャラリストには、このブログでも度々展覧会を取り上げている六本木のピラミデやシンガポール、上海に拠点を持つオオタファインアーツの太田氏や、恵比寿のNADiff a/p/a/r/t の2Fにスペースを持ち、このブログでも紹介したGYRE GALLERYの展覧会「2021年宇宙の旅 モノリス_ウイルスとしての記憶、そしてニュー・ダーク・エイジの彼方へ展」の企画を手掛けたスクールデレック芸術社会学研究所の飯田高誉氏などがいます。
PR東高現代美術館とNICAF
白石氏は、表参道に1989年から1992年の3年間だけあった東高現代美術館の副館長でもありました。場所は、現在アニヴェルセル表参道があるあたりでした。バブルで利益を上げていた東高不動産が設立した美術館だったので、その豊富な資金力と立地のよさで話題になり、私もソル・ルイット展や荒川修作展を観に足を運んだものです。
また、東高現代美術館閉館後白石氏は、1992年にスタートした国際コンテンポラリーアートフェア NICAF YOKOHAMAを立ち上げたことも有名です。NICAFは2003年の8回目で一旦幕を閉じましたが、2005年から現在までアートフェア東京として継続しています。
ギャラリー内
ここからはギャラリーの内部を見てみましょう。
入り口の扉の両脇にその時開催している展覧会のサインが和英表記で出ています。現在は、名和晃平「TORNSCAPE」を開催中です。
さらにいかにも銭湯な引き戸を開けると靴入れですね。この頃のは下駄箱って言った方がいいのかな。下駄箱はありますが、靴を脱ぐ必要はありません。土足のまま入って大丈夫です。▼
PRホワイトキューブ
引き戸の次に元々は男湯女湯の入り口だったと思われる出入口が左右にありますが、右側の扉から入ります。左側は出入りできません。
中のギャラリー空間です。この写真は名和晃平の展覧会の様子です。▼
ギャラリスペースの全体感が分かりにくいので簡単な図面です。▼下の図面の7番の作品が上の写真の作品▲です。
3番と4番の部分は小上がりになっています。矢印になっているところが出入口で、その左側が元は番台だったであろう位置で、現在はカウンターになっています。▼
壁面に展示された黒い額装作品が3番の位置です。▼
京都のエースホテルに設置されている名和晃平の作品もSCAIが手掛けたプロジェクトの一つです。▼
PR過去の展覧会
SCAI THE BATHHOUSEには錚々たる顔ぶれのアーティストが所属しています。
昨年開催された今をときめくアートユニット目[mé]の展覧会は大変話題になりました。他にもの派の大御所李禹煥やアニッシュ・カプーア、横尾忠則などなどがいます。
宮島達男展
2020年の11月から12月に開催された宮島達男「Uncertain」です。人物が写っているとこのスペースの天井の高さがわかりやすいですね。
この展覧会では、サイコロを降って出た数字を展示すると言う日々展示内容が変化していく展覧会でした。▼
東日本大震災をきっかけに消灯した六本木ヒルズのけやき坂にある宮島達男の作品「couter void」もSCAIが手掛けたプロジェクトです。▼
森万里子展
2020年9月から10月に開催された森万里子の「Central」の展覧会の様子です。
名和晃平展では暗くするために閉じられている入り口横のガラス窓が見えます。▼
ルイーズ・ブルジョワ
六本木ヒルズのアイコン的な存在でもある彫刻家ルイーズ・ブルジョワのママンもSCAIが手掛けたプロジェクトの一つです。
宮島達男や名和晃平は展覧会を開催しているのでご存知の方も多いでしょうが、ママンもSCAIだと言うのは案外知られていないかもしれません。▼
基本情報
東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡 MAP
展覧会期中 12:00 – 18:00 日月祝 休
PRSCAI PARK
天王洲の寺田倉庫が運営するTERRADA ART COMPLEXにも拠点を持っています。
既に終了してしまいましたが、2021年11月13日まで名和晃平の展覧会を開催していました。▼
東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 5F MAP
展覧会会期中 12:00 – 18:00 日月祝休
SCAI PIRAMIDE
森ビル運営のピラミデに2021年6月にオープンしたSCAI3つ目の拠点です。▼
東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル 3F MAP
12:00 – 18:00 木金土開廊
駒込倉庫
若手作家のための実験的プラットフォーム駒込倉庫も白石氏が設立したスペースです。ここでも定期的に展覧会が開催されています。
東京都豊島区駒込2-14-2 MAP
13:00 – 19:00 月火休
PRカヤバ珈琲
SCAI THE BATHHOUSEから徒歩2分ほどの場所にある喫茶店です。推定大正5年の建設以降、ミルクホール、かき氷・あんみつ店、などを経て昭和13年に「カヤバ珈琲店」となり、 谷中のシンボルとして、地域住民、東京芸大関係者など、 幅広い層に長年親しまれてきましたが、2006年(平成18年)に閉店してしまいました。
閉店したカヤバ珈琲を2008年(平成20年)にNPO法人たいとう歴史都市研究会と一緒に復活再生させたのも白石氏です。いろいろ活動の幅が広いですね。本当に。
現在は、週末は行列ができる大人気の喫茶店です。私もSCAI THE BATHHOUSEとセットで訪問することが多く、タマゴサンドとルシアンが私のお気に入りメニューですね。▼
カヤバ珈琲
〒110-0001 東京都台東区谷中6丁目1−29 MAP
8:00-18:00 月休 *変更になる可能性があります。
谷中にある銭湯をリノベした現代美術のギャラリーSCAI THE BATHHOUSEに是非訪問してみてください。帰りにカヤバ珈琲に立ち寄るのも忘れずに。