お台場にあるモニュメントのような飛行船のような不思議な建築をご存知でしょうか。
90年代の幻の博覧会「世界都市博覧会」のために建設され、青島都知事が当選した1995年に都市博が中止となった後も建設は続けられ竣工した幻の都市博の遺産のような建築です。
解体されると聞いてまだ姿がみられるうちに見学に行ってきました。見学といっても当然中に入れるわけもなく、外観を柵の外から眺めてきました。
平成世代の若い人にとっては、そもそも都市博でさえ一体何?状態でしょうから、この建築がなくなってしまうと、幻の都市博は完全に人々の記憶から抹消されてしまうなぁという気持ちになりました。
PR共同溝展示館
1996年に開催される予定だった世界都市博覧会のために建設された共同溝を見せるための展示館です。
都市博が中止になったのが1995年。この展示館が竣工したのは、当初の予定通り都市博の開催予定だった1996年です。設計は渡辺誠。
ガンダムのような強烈な個性を放つ建築あの「青山製図学校」を手がけた建築家です。
世界都市博覧会は、長らく東京都知事を務めた鈴木俊一が音頭をとり東京での博覧会として進行していたものの、バブルが弾け、都市博中止を公約に掲げた青島幸男が都知事選で圧勝し、開催予定の前年1995年に中止が発表されたというのが超簡単が流れです。
都市博中止が発表されたものの、共同溝展示館は翌年1996年に開館しました。
保安上非公開の臨海副都心の共同溝を鑑賞することができる都市のインフラ博物館とでもいうのでしょうか。
内部は、共同溝を紹介する展示室と共同溝の配管を実際に見学することができる見学通路で構成されていたそうです。
お台場の夢の大橋東側に位置していて、橋梁台座下部に設置された配管を見学することができたそうです。
内部に入ったことがないため想像するしかないのが残念です。
共同溝展示館閉館
1996年に予定位通り開館したものの、来館者の低迷により2001年に閉館しました。
竣工してから現在までの28年間のうち、この建築が本来の用途の共同溝展示館として稼働していたのは、わずか5年間だけだったということになります。
▲解体直前に様子を見に行った時。周囲は柵で囲われ、上部からネットがかけられているのはだいぶ前からのようです。
それにしてもこれから飛び出すような、はたまた大空から着陸してきたような、躍動感あふれる建築です。このキャンチの中に入ってみたかったなぁ。
写真左に少し写る石のようなものもかなり謎です。
また、前方から見る外観と後方から見る外観もまるで別の建築のように表情が違うのも面白いです。
どちらが前でどちらが後ろなのかもちょっとわかりませんが。
PR
共同溝展示館解体
共同溝展示館解体の報を受けて早速みに行ってきたのは解体工事が始まる直前でした。
すでに解体のための仮囲いや足場を立てるために周囲の木を切ったり、ものを撤去するための業者が入っており、人の出入りがあることで逆に本当に解体するのだという雰囲気がありました。
解体工事が始まった現在は、すっかり足場が組まれてその姿を見ることはできなくなっているようです。
あと数ヶ月すれば何もなくなってしまうでしょう。
共同溝展示館について設計者である建築家の渡辺誠のHPに詳しいことが書かれていますので、もっと知りたい方はこちらを参照してください。内部の様子も出ています。
設計者がこだわったとみられる展示室とか、トイレのブースとか、内部空間がどんなだったのか、解体前に見てみたかった!という気持ちが強まります。
渡辺誠の手がけた建築の記事▼
基本情報
共同溝展示館(2024年11月〜解体)
2001年閉館 江東区有明3丁目1 MAP |