建築目的で旅をするのもとっても楽しいけれど、まずは近所の建築を徹底的に掘り下げてみようと思い立って始めた企画の第一弾は東京建築 | 西麻布編01です。
有名建築家が手がけた建築も数多くある西麻布ですが、まずは一度見たらその強烈な意匠が脳裏に焼き付いて離れない超個性派建築を3つご紹介します。
別の言い方をすると西麻布奇天烈建築3選です。いずれも外苑西通り沿いあるいは外苑西通り至近で各徒歩5分圏内に建っているので是非西麻布にお越しの際は巡ってみてください。
WAVE 西麻布(旧スカラ):北川原温
竣工1992年のオフィスビルです。何度も前を通ったことはありますが、ビルにどんな会社が入っているのか、どういう人が出入りしているのか、全く謎です。そしてもっと謎なのが、屋上部に取り付けられた通称飛び込み台です。まるでピノキオの鼻のようにニョッキリと空中に飛び出しているこのデザインが意図するものが何なのか全くの謎です。
目の前を通る時は真上すぎてこの奇天烈な飛び込み台のデザインがあまり見えません。少し離れて交差点の反対側に渡った方がよく見えます。
竣工時はカラーリングが違っていました。この飛び込み台がでている筒状部分は、真っ黒でした。いつグレーに変わったのか記憶にありません。
また、WAVE西麻布のお隣には八束はじめ設計の「アンジェロ・タルラッチ・ハウス」がありますが、現在はファサードにかなりの改修工事が施され、竣工時の面影はありません。ビル名もおそらくビルオーナーが変わって別の名前になっていると思います。
北川原温といえば、渋谷の元映画館ライズや、山梨県のホテルキーフォレスト北杜、長野県の稲荷山養護学校など、どの建築も外観が超個性的で、一度見たら忘れられない意匠の建築を数多く手がけています。
屋上部に飛び込み台のある円筒形を乗せたガラス張りのビルはかなり目立ちます。
後方部分は黄色く塗装されコンクリート、ガラス、イエローのコンポジションが時代を感じさせるデザインです。
西麻布交差点から乃木坂駅方面に外苑西通りを信号一つ分歩くとたどり着く通称飛び込み台ビル、是非実際に見学してみてください。
ただし内部見学はできません。
基本情報
WAVE 西麻布
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エスペランザビル:梵寿綱
このブログでも度々紹介している日本のガウディこと梵寿綱のかなりの初期の建築が西麻布にあります。竣工はなんと1977年!すでに47年経過したビルです。
梵寿綱の一連の仕事をご存知の方は、え?おとなしい!と感じるでしょう。しかし、西麻布の静かな住宅街では、他の梵寿綱建築がそうであるように、かなり激しく目立っています。

これまでずっとビル全体が薄いピンクでレリーフ彫刻は白という落ち着いたカラーリングでしたが、最近久しぶりに行ってみたら再塗装されてかなり絵画的な仕上がりに変わっていました。
以前の色が気になる方はこちらの記事を読んでみてください。
また、こちらの建築も見学は外観のみです。
基本情報
エスペランザビル
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The WallとArt Silo:ナイジェル・コーツ
北川原温が抽象的なデザインの超個性派建築で梵寿綱が具象的な超個性派建築でしたが、ナイジェル・コーツは西麻布のバブル建築の代表格にして具象的でありつつも抽象的という二つの要素を併せ持つ超個性派建築です。
しかもこの建築、名前が二つあることでわかる通りパラボラアンテナ付きのArt Siloと横のThe WALLと二つの建築で、内部で行き来はできません。
とにかく外壁から謎のパラボラアンテナから、アートから至る所装飾づくしでお金がかかっているのが一目瞭然です。さすがバブル期にやりたい放題やっただけのことはあります。
さらに、ナイジェル・コーツは自国イギリスではインテリアデザイナーの仕事の方が主で建築はあまり手がけていません。日本のこの建築がナイジェル・コーツにとってもっとも大規模な仕事だったと言ってもいいでしょう。
西麻布の人々はもう見慣れてしまってなんとも思わなくなっていますが、よくよく見るとかなり謎な存在です。
細かい装飾の詳細等々は関連サイトの歩いて知った麻布ガイド<西麻布 イギリスの建築家ナイジェル・コーツのThe WallとArt Silo>の記事を参照ください。
夜、照明で浮かび上がる二つの建築もまた別の表情を見せてくれます。
内部の見学はできませんが、1階にavexが運営するギャラリー&バーWALL alternativeがあるので、そこなら入ることができます。ちなみに営業時間は夜だけです。
基本情報
The WallとArt Silo
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