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沖縄を取り続けている写真家 石川真生 ─私に何ができるか─ を東京オペラシティアートギャラリーでみる


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沖縄県大宜味村(おおぎみそん)生まれで、沖縄を拠点として精力的に活動する写真家石川真生(いしかわ・まお)の個展が初台にある東京オペラシティアートギャラリーで開催されています。

沖縄をめぐる人物、その人々に密着し、そのリアルな姿をとらえた写真の数々は、地元で生まれ育った石川真生だからこその視点で撮影された作品ばかりです。

これまで知らなかった写真家の展覧会でしたが、その全貌をこの機会に鑑賞することができました。

「石川真生 ─私に何ができるか─ 」東京オペラシティアートギャラリー、2023
「石川真生 ─私に何ができるか─ 」東京オペラシティアートギャラリー、2023
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石川真生

1970年代から写真を始め、上京してWORKSHOP写真学校、東松照明教室で写真を学びます。その後沖縄に戻り、沖縄を拠点に今日まで沖縄の人々に密着した作品を制作し続けています。

石川真生の作品には、常に被写体である沖縄の人々の声に耳を傾け、立場を越えて取材することで引き出されるリアルな現実があります。

それは、誰も真似することのできない取材スタイルで沖縄の人々を捉え、沖縄の生々しい現実を独自の切り口で表現しているからこそです。

1970年代には沖縄在米兵の黒人たちの生活を撮影した「赤花 アカバナー 沖縄の女」や、黒人兵の故郷を訪ねた「Life in Philly」など、沖縄での出会いをきっかけに立場を越えて写真を撮り続ける独自のスタイルを確立しました。

「石川真生 ─私に何ができるか─ 」東京オペラシティアートギャラリー、2023
《大琉球写真帖》「石川真生 ─私に何ができるか─ 」東京オペラシティアートギャラリー、2023

東京初個展

石川真生の作品は、2004年横浜美術館での「ノンセクト・ラディカル 現代の写真III」で沖縄以外の美術館で初めて紹介されました。

その後、2021年に沖縄県立博物館・美術館にて回顧展「石川真生:醜くも美しい人の一生、私は人間が好きだ。」が開催されました。その流れを受けて、今回の展覧会は沖縄での回顧展で示された成果を踏まえつつ、東京で初個展として開催されています。

今回初めて石川真生の写真の数々にふれ、現代の沖縄が抱える課題や困難な状況を石川のレンズを通して垣間見ることができました。

展覧会構成

展覧会は、1970年代の「赤花 アカバナー 沖縄の女」からスタートします。展示順は時間軸に沿っており、シリーズごとにまとめられています。

「石川真生 ─私に何ができるか─ 」東京オペラシティアートギャラリー、2023
《沖縄芝居―名優たち》「石川真生 ─私に何ができるか─ 」東京オペラシティアートギャラリー、2023

キャプションはありませんが、シリーズごと、写真ごとの作品情報と解説はギャラリーで配布しているハンドアウトに詳細が掲載されています。

「石川真生 ─私に何ができるか─ 」東京オペラシティアートギャラリー、2023
《私の家族》「石川真生 ─私に何ができるか─ 」東京オペラシティアートギャラリー、2023

▲《私の家族》シリーズには、石川真生本人の姿も登場します。

この写真の解説がそれまで自分で自分を撮る写真を馬鹿にしていたけれど、あることをきっかけに自分で自分を撮るようになり、その心情を理解したという話が印象的でした。

詳細はぜひ、展覧会を見に行ってハンドアウトを読みながら写真を鑑賞してみてください。

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大琉球写真絵巻

展覧会の後半は、石川真生が2014年から制作を続ける大琉球写真絵巻の展示です。

「石川真生 ─私に何ができるか─ 」東京オペラシティアートギャラリー、2023
《大琉球写真絵巻》「石川真生 ─私に何ができるか─ 」東京オペラシティアートギャラリー、2023

▲展示空間を大胆に使い大琉球写真絵巻が展開されています。

《大琉球写真絵巻》「石川真生 ─私に何ができるか─ 」東京オペラシティアートギャラリー、2023
《大琉球写真絵巻》「石川真生 ─私に何ができるか─ 」東京オペラシティアートギャラリー、2023

▲壁からはみ出して浮き上がってくる沖縄のリアルな写真の数々。

私は展覧会鑑賞前に石川真生のインタビュー動画を見てから訪問したので、そのインタビューで石川真生の口から語られたさまざまなエピソードと、実際に展示されている写真作品を照合していくように鑑賞しました。

このインタビュー動画は実際にオペラシティアートギャラリー内でも流れていますが、1時間あるので事前に視聴して行く、または鑑賞後に視聴しても良いかと思います。

ここにリンクを貼っておきます。石川真生インタビュー動画 (アートウィーク東京2023のプログラム AWT TALKSのオンライントークより)

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収蔵品展「ひとの顔」

東京オペラシティアートギャラリーの企画展示室上階4階で同時に開催されている収蔵品展を紹介します。

石川真生の展覧会チケットでこの4階の展覧会の鑑賞ができますので、忘れずに見て帰りましょう。

展示風景 収蔵品展077「ひとの顔」東京オペラシティアートギャラリー,2023年
展示風景 収蔵品展077「ひとの顔」東京オペラシティアートギャラリー,2023年

「ひとの顔」は世界各地で普遍的なモティーフとされており、古来よりモティーフとしての顔は、様々な目的で表現されてきました。

それは、時に記録や権力の象徴、時に祈りの対象など多岐にわたる目的を持ち、とても重要な意味を持っているからです。

展示風景 収蔵品展077「ひとの顔」東京オペラシティアートギャラリー,2023年
合田佐和子 展示風景 収蔵品展077「ひとの顔」東京オペラシティアートギャラリー,2023年

収蔵品の中から「ひとの顔」の作品だけを集めた展覧会です。

モティーフが「ひとの顔」である以外は新旧様々な作家の作品が並びます。

村上隆 展示風景 収蔵品展077「ひとの顔」東京オペラシティアートギャラリー,2023年
村上隆 展示風景 収蔵品展077「ひとの顔」東京オペラシティアートギャラリー,2023年

▲日本の現代美術を代表する村上隆のDOBくん

奈良美智 収蔵品展077「ひとの顔」東京オペラシティアートギャラリー,2023年
奈良美智 収蔵品展077「ひとの顔」東京オペラシティアートギャラリー,2023年

▲顔と言えば、忘れてはならないのがやはり日本の現代美術を代表する奈良美智の作品です。

モティーフが顔という面白い切り口の収蔵品展です。階下の石川真生の写真にはリアルな沖縄の人々の顔がたくさん写っていましたが、4階の収蔵品展では、作家が描いた様々なひとの顔を見ることができます。

project N 92 土井沙織

4階のコリドールでは土井沙織の超大型作品が所狭しと並んでいます。

▲大画面、大迫力の平面作品の数々に圧倒されました。

東京オペラシティへ行ったら▼

基本情報

石川真生 ─私に何ができるか─

収蔵品展「ひとの顔」project N 92 土井沙織

2023年10月13日[金]─ 12月24日[日]

11:00 – 19:00 月休

チケット料金:一般1,400円、大・高生800円、中学生以下無料

東京オペラシティアートギャラリー

新宿区西新宿3丁目20−2 MAP

アクセス:京王新線 初台駅東口下車徒歩5分以内

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