目黒駅、中目黒駅、祐天寺駅のちょうど真ん中あたりの閑静な住宅街に突如現れる「現代彫刻美術館」ってご存知でしょうか。実は私も全く知りませんでしたが、たまたま通りかかって立ち寄ってみたらびっくり!
彫刻庭園だけでなく立派な美術館まであって、全部無料で鑑賞できるんです。
平日だったせいもあり、晴天にも関わらず終始貸切で堪能しました。まだまだ東京には知らない場所がたくさんあるんだなぁと実感しました。
中目黒界隈を別の用事で歩いていて、初めて見つけた現代彫刻美術館の初訪問レポートであり中目黒の珍スポット(←失礼)のご紹介です。
▲超住宅街に突如出現する野外展示場のアーチ状の作品は空充秋の作品
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宗教法人運営の美術館
宗教法人が運営する美術館は少なくありませんが、たいていは新興宗教であるためその運営母体が宗教法人であることを、あまり表に出さない事が多いように思います。
新興宗教運営で代表的な美術館といえば、熱海のMOA美術館と滋賀県のめちゃくちゃ奥地にあるMIHO MUSEUMです。
どちらも初訪問の時のそのアプローチの異様な雰囲気に、宗教の、しかも新興宗教の存在を感じずにはいられませんでした。
あれは否応無しに誰もが気づく雰囲気です。わざとそうしているのか、滲み出ちゃうのか判別しかねますが。きっと、隠したいような隠したくないような、という複雑な心境の表れなのでしょうか。
MIHO MUSEUMは、もう20年くらい行ってないので現在の状況はわかりませんが、とにかくいい意味でも悪い意味でも異様な感じです。
それに比べると、比較してはいけないのかもしれませんが、こちらの施設は、新興宗教ではなく、れっきとした仏教の浄土宗のお寺でその創建は宝暦11年(1761)まで遡ります。要するにガチな仏教、お寺なのです。
▲運営母体の長泉院には、東京都指定文化財になっている儒者松崎慊堂のお墓があったり、目黒区指定文化財の普寂徳門の注釈書があります。
だからなのでしょう。宗教法人を前面に出し、宗教法人 長泉院附属 現代彫刻美術館と名乗っています。その創建のきっかけはわかりませんが、お寺の住職が彫刻が好きすぎて設立した美術館という感じなのではないでしょうか。勝手な想像ですが。
▲こちらは彫刻美術館のお隣にある長泉院の入り口
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野外展示場
現代彫刻美術館は、4つの野外展示場と美術館で構成されています。
▲住宅街の中を縫うように野外展示場が4ヶ所あります。
▲野外展示場4の様子です。
さながら箱根彫刻の森美術館の住宅街バージョン中目黒編といった感じでしょうか。
▲野外展示場3・4から美術館へ抜ける連絡通路にある作品
▲野外展示場1の様子
▲野外展示場2の様子
ここまでは結構な坂道を登ってくることになりますが、それだけ高台にあるので、野外展示場から目黒川方面は、眼下に住宅街を望む気持ちのいい空間です。
▲仏教を唯一感じる眺め。周りにはトルソや少女の像が並びます。
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現代彫刻美術館
野外展示場だけでなく、美術館だってあります。
▲美術館は1982年に堀 響一の設計で竣工しました。美術館は六角形の集合体で、俯瞰で見るとハニカムユニットのようになっています。
最初にできたのは、美術館ではなく1978年に野外展示場1と2が開設されました。その後美術館が開館し、1987年に野外展示場3・4が増設され、現在に至ります。
というわけで9年間かけてこのような美術館と野外展示場が完成したことになります。さらに美術館は2002年にリニューアルしたようです。
▲美術館は入場無料です。ただし残念ながら館内は撮影禁止です。
規模的には、彫刻の森というよりは、彫刻の庭というスケールですが、地元の人にとってはいい憩いの場所ではないでしょうか。
中目黒にこんな場所があったことを初めて知って驚きの方が大きかったのですが、地道に啓蒙活動をしていらっしゃるようなので、ブログに書かせていただきました。
ここから、徒歩2分ほどの場所に奇才梵寿綱70年代の建築カーサ中目黒があります。ディープ中目黒の珍スポット巡りをしてみてはいかがでしょうか。
基本情報
宗教法人 長泉院附属 現代彫刻美術館
10:00〜17:00 入場無料 月休 目黒区中目黒4丁目12−18 MAP |