春のお花見の季節の桜をはじめ、四季折々の美しい自然が楽しめる広大な公園、新宿御苑。今回は新宿のオアシス新宿御苑で建築巡りです。
新宿御苑のその美しさと歴史的価値は、国内外の観光客だけでなく地元都民にとっても非常に魅力的なスポットです。
御苑では、都会にいながら自然の美しさと歴史の息吹を感じ、都会の喧騒から離れて癒しのひとときを楽しむことができます。
新宿御苑の魅力に迫るこのブログでは、歴史的建造物と公園内にあるスターバックスなど、広大な御苑の中でも必見の魅力的なスポットをご紹介します。
PR新宿御苑とは
新宿御苑、その歴史は江戸時代に遡ります。この美しい庭園は、徳川家康の家臣である内藤清成によって賜った大名屋敷が起源です。
その歩みは明治維新に向かって大きく変わりました。明治時代に入り、ここは国営の農事試験場としての役割を果たすこととなり、その後宮内省の御料地として用いられ、明治39年(1906年)に皇室庭園として生まれ変わります。
新宿御苑が一般の人々に開放されたのは、国際的な外交交流の舞台としても脚光を浴びた昭和24年、つまり1949年です。
御苑の庭園は、フランスの造園家が手掛けており、ヨーロッパ式の整形式庭園と風景式庭園、そして日本庭園という3つの形式が見事に調和しています。
この独自の融合は、明治時代の近代西洋庭園の優れた代表作として、また、日本における風景式庭園の貴重な名所として、今日も私たちに魅力を提供し続けています。
現在も、新宿という大都心の中にある憩いの公園として変わらず人々に親しまれています。
そんな新宿御苑を楽しむためには、その歴史的背景を知ってから訪れると散策もさらに深まるでしょう。
旧御凉亭 (きゅうごりょうてい)
1927年(昭和2年)、皇太子(後の昭和天皇)の御成婚記念として献上された建物があります。
これは、日本で数少ない本格的な中国風建築で、中国ビンナン建築様式の特徴を見事に取り入れた建築です。
設計者である建築家の森山松之助は、この建物を「水の上に立つ御休息所」と位置づけ、夏の散策時に涼を楽しむ場所として計画しました。
格式あるデザインと優美な建築で知られ、皇室の特別な場所として使用されてきました。
中国風の美しさと和の景色が見事に融合し、皇太子と後の天皇の御成婚を祝福する特別な空間としても重要な役割を果たした場所です。
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新宿御苑の温室
1875年(明治8年)に誕生したガラス張りの約100㎡の西洋式温室が、2012年(平成24年)に絶滅危惧種の保護と展示に特化した環境に配慮された温室へと進化しました。
1958年に完成したドーム型の大温室は当時東洋一の大きさを誇りましたが、老朽化などの理由から建て替えが進み、2012年にリニューアルオープンし現在に至ります。
リニューアルオープンの際の設計はプロポーザルによって選出された日本設計が担当しました。
この温室では、主に熱帯と亜熱帯地域の植物が約2700種も栽培されているのです。
この温室は、自然環境への思いやりを大切にし、絶滅の危機に瀕する植物種の保存と展示を通じて、訪れる人々に自然の奇跡と美しさを伝えています。
特に11月には、見どころ満載の洋ラン展が開催され、美しい花々の魅力に圧倒されることでしょう。
温室のお隣には、1893年(明治26年)から翌年にかけて建てられた初期の温室の遺構を見ることができます。
2010年の埋蔵物発掘調査で出土したものです。
温室の一番東側の基礎部分で、基礎石部分の上に切石、さらに煉瓦が積まれた構造をしていたことがわかります。
ちなみに温室の開館は、9時半からで、閉園時間は御苑の閉園時間の1時間前です。
旧洋館御休所
1896年(明治29年)に誕生した温室内の休憩所は、新宿御苑を訪れる天皇や皇族のための場所として建てられました。
その後、1924年(大正13年)には現在の規模に拡張され、クラブハウスとしても使用されました。
この建物は宮内省匠寮によって設計され、アメリカのスティック・スタイル建築様式が基調とされています。そして、2001年(平成13年)には国の重要文化財(建築)として指定されています。
新宿御苑内の重要な歴史的建造物のひとつです。
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スターバックスコーヒー新宿御苑店
2020年にオープンした「スターバックスコーヒー新宿御苑店」は、新宿御苑内に民間企業が運営する初の店舗として誕生しました。
元々あった新宿御苑内の「新宿御苑レストハウス」は1980年代に建設され、約40年にわたって運営されてきました。
しかし、新たな民間企業の協力により、新宿御苑を訪れる人々へのサービスを向上させる計画として2020年にスターバックスコーヒーが出店することになりました。
建物のリノベーションは、スターバックスコーヒーの多くの店舗と同様に社内の店舗設計部によりデザインされています。
眼下にある中の池と御苑の豊かな緑を眺めながらコーヒーブレイクしてみませんか。
新宿御苑のスタバを利用するには、御苑の入園料が必要です。
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ラクウショウの森(母と子の森)
建築ではありませんが、私が新宿御苑で好きな場所のご紹介です。
この不思議な形の木のような根のようなものがニョキニョキと生えているエリアです。
この「気根」と呼ばれる呼吸根を持つのは、ラクウショウという樹木です。
ラクウショウは「ヌマスギ」とも呼ばれ、湿地や沼地に生育します。沼地では地下の根だけでは酸素を取り入れるのが難しいため、地上や水面に気根を伸ばして酸素を摂取することからこのような形の気根が出てくるのです。
特に「母と子の森」のエリアは湿地で、雨が降ると水浸しになります。ですからラクウショウが生育し、気根が発達しているのです 。
都内で気根がこんなに発達するのはとても珍しいことで、国内でも貴重な生育地なんですって!
突然現れるこの幻想的な光景は、童話の世界に迷い込んだようで御苑の中でも私のお気にりの場所なのです。
さぁ、あなたも広ーい新宿御苑を散策してお気に入りの場所を見つけましょう!
基本情報
新宿御苑
9:00 – 17:30(閉園18:00) 3/15〜6/30、8/21〜9/30 9:00 – 18:30(閉園19:00) 7/1〜8/20 月曜休園(祝日の場合翌日)、年末年始(12月29日~1月3日) 入園料:一般500円、65歳以上・学生250円、中学生以下無料 新宿区内藤町11MAP アクセス:各門までのアクセスはこちら |