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建築の神様からの贈り物

建築の神様からの贈り物 vol.9 隈研吾 設計 明治神宮ミュージアム
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JR原宿駅と東京メトロ明治神宮前駅からすぐの巨大な神社明治神宮は、都民なら一度は訪れたことのある神社ではないだろうか。お正月の初詣の参拝者は堂々の全国第一位。日本一参拝者の多いメガ神社だ。

毎年300万人の参拝者が訪れる巨大な神社はその敷地も半端ではない。緑豊かな敷地は70ヘクタール(22万坪)をゆうに超える。しかし、意外にもその歴史は浅い。というのもその名前にある通り、明治天皇崩御の際に創建された神社だからである。

創建は今からちょうど100年ほど前の1920年。現在、鎮守の森は都民のオアシスとして愛されているが、この豊かな森は人工的に作られたものだ。逆を返せば100年で森は作れるということか、とお思いでしょうが、どうやらそう簡単な事ではないらしい。それ故にここは奇跡の森とも言われている。

ちょうど100周年だった2020年にはさまざまなイベントが行われたのも記憶に新しい。

そんな明治神宮の中に新しい建築が竣工した。それは鎮座百年祭記念事業の一環として建設されたミュージアムだ。その名も明治神宮ミュージアム。

隈研吾の設計で2019年に開館した。

参道沿いにひっそりと佇む明治神宮ミュージアムは、延床面積約3,200平方メートル。決してコンパクトとは言えない施設だが、この豊かな森の中に、その存在が溶け込むように設計されている。

だからこそ、森に囲まれたミュージアムの内部では、降り注ぐような木漏れ日がとんでもなく美しい光景を見せてくれた。

これは開館したばかりの2019年に撮影したものなので、今でもこのように何もない空間がエントランスに保たれているのかは不明だが、5年も前の光景だが忘れられない。これはまさしく建築の神様からの贈り物だったから。

また、明治神宮ミュージアム建設に伴って切り倒された木は、木材として家具や内装に再利用され、鎮守の森の貴重な資源を循環させることに成功している。

山手線と東京メトロの駅から徒歩数分で到着できる場所に、こんなに緑豊かな森と出会うことができるのはここだけではないだろうか。しかも、こんなにも自然豊かであるのに、100年前に人工的につくられた森なのだから驚く。その事実を知識としては知っていても、その場所で察知することは不可能だ。

そのくらい人工の森は、自然なのだ。

明治神宮ミュージアム

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