都内にある柳澤孝彦が手掛けた大型施設、東京都現代美術館と東京オペラシティ。この二つの建築に共通するものとして親水広場がある。
柳澤孝彦が手がけた建築にある親水広場が時折見せる美しい光景、すなわち建築の神様からの贈り物をまとめてみた。
PR東京オペラシティ
東京オペラシティは、1999年に竣工した複合施設だ。
高層ビルにはオフィスが入り、最上階と下層部には飲食などの商業施設が入っている。また、東京オペラシティアートギャラリーというアート施設もある。
さらに、隣接して新国立劇場があって、こちらも同じ柳澤孝彦による仕事だ。新国立劇場はオペラシティより一足早く1997年に竣工した。この新国立劇場とオペラシティを結ぶ中間地点にアールの屋根が美しいガレリアがあある。ガレリアと新国立劇場の間に親水広場が設けられ、人々の目を楽しませてくれる。
ガレリアと親水広場には彫刻とも庭園とも判別がつかない石が置いてある。これはおそらくイサム・ノグチの右腕だった石工の和泉正敏によるものだと推測される。なぜなら、同じ柳澤建築である上田市の文化施設サントミューゼ上田がまさにそうであるからだ。
この石と水による空間構成だけでも、目の保養になるが天気の良い日の特定の時間だけ天井に現れる水面のゆらぎの美しさたるや!
オペラシティにはアートギャラリーもパブリックアートもふんだんにあるが、この神様からの贈り物が見られた日が最高に気持ちがいいのだ。
また、ジョナサン・ボロフスキーの巨大アートがあるサンクンガーデンの壁面に沿うように設えられた階段もとても好きな階段の一つだ。
東京オペラシティ
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東京都現代美術館
1995年、アンソニー・カロの個展で開館した東京都現代美術館も訪問回数はゆうに30回以上となる美術館の一つだ。
これまでにみた展覧会の数もカウント不可能だが、柳澤孝彦の設計した美術館の中でも一番規模が大きいのではないだろうか。
柳澤建築の美術館を全制覇していないので推測に過ぎないのだが。多分、あっている。
ここにも東京オペラシティ同様に印象的に石が置かれた親水広場がある。
どんなに美術館が混んでいていもここは人がいないのが大好きなポイントの一つだ。
一見暗い印象になりがちなスペースだが、水があるおかげで特定の季節と時間に水面の揺らぎを見ることができる。
美しい揺らぎが出現する場所は、季節や時間で刻々と変わるので、晴天の日に訪れたらぜひ探してみてほしい。
また、新緑の季節は隣の木場公園の緑が目に眩しい。
内部には、ドットの影が見られる季節があるので、これも注目して欲しい。
さらに、いくつかある階段もシンプルな折り返し階段や屋外の螺旋階段など見どころが満載なのだ。
ここは展覧会だけ見て満足してはいけない建築なのである。
東京都現代美術館
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