青山のみゆき通りで一番目立つ建築は、PRADA AOYAMA(プラダ 青山)だろう。そのことについて誰も異論はないはずだ。ヘルツォーク&ムーロンが設計したこのガラスの建築が竣工したのは、2003年。すでに20年以上の時間が流れた。
この20年間でこの建築の前を何度通ったことだろう。100回200回じゃきかない。数えきれないほど通っている。それでも毎回写真を撮りたい気持ちになるし、5回に1回くらいは実際に写真を撮っているかもしれない。
まるで彫刻のようなプラダ青山は、スイスの建築家ユニット、ヘルツォーク&ド・ムーロンによってデザインされた。
特注で製作された菱形のガラスは、平板なガラスだけでなく一部は凹凸に加工されている。黒い斜めの格子フレームは、内部のシャフトや水平のチューブとともに建物の支えとして機能している。
日本では構造上の安全性を考慮して、建物と広場の地下に免震構造が取り入れられている。
この建物のすごいところは、このような構造にもあるのだが、やっぱりその存在感だ。みゆき通りに聳え立ってからすでに20年以上の月日が流れているが、その優れたデザイン性の高さは、他の追随を許さない。今でもみゆき通りで存在感No.1の建築であり続けている。
まぁ、普通に考えてプラダ青山の存在感を超えるものを作るのは相当大変であることは容易に想像できる。しかし、斬新で奇抜なデザインであるにも関わらず全く飽きが来ないのもすごいところだ。その証拠に今でも通りがかるたびに写真におさめたくなってしまうのだから。
設計を担当したヘルツォーク&ド・ムーロンは特定のスタイルを持たない建築家だ。これまでも建設予定地の歴史やその施設の持つストーリーに合わせたデザインの建物を設計してきている。
流行の最先端をいく東京の表参道という立地ならではのデザイン。ヘルツォーク&ド・ムーロンからの答えがこのプラダ青山だ。
透明感があって、シャープ、それでいて、インテリジェンスも感じる幾何学形の繰り返しによるデザイン。また、20年以上前のデザインでありながら未来的なものも感じる。すぐそばに本が開いたようなデザインのmiumiuがあるがこちらの建築も同じくヘルツォーク&ド・ムーロンによるものだ。
全く別のデザインであるが、斬新でありながらも飽きのこない普遍的なデザインという意味では妹分としてちょうどいい存在感かもしれない。
ヘルツォーク&ド・ムーロンの建築▼