渋谷と代官山のちょうど中間地点にある知る人ぞ知る名建築、谷口吉郎設計による本門佛立宗の寺院「乗泉寺」は、1965年竣工の建築だ。
渋谷駅の或いは代官山駅付近の喧噪が嘘のような静かな住宅街に位置するこの寺院は、広々とした敷地に贅沢に建っている。
中庭をぐるりと囲むように回廊が回っている。なんとこの回廊全長217mもあるのだ。門から入って右側には竹林と池がある。
池の上には六角形の霊堂、その名も六角霊堂がある。この竹林と六角霊堂は建築の神様からの贈り物の宝庫だ。
水面が霊堂の屋根や壁に美しい水面の反射模様を見せる。きっと時間や季節でこの反射が見える位置や範囲は変わる。
竹林越しの木漏れ日も、この世のものとは思えないほど美しい。
風の強い日はその揺らぎと煌めきが半端ない。
本堂の中に入らずしてこんなに見どころのある場所が他にあるだろうか。谷口吉郎の建築は谷口吉郎設計 迎賓館 和風別館 游心亭と 金沢建築館の游心亭や、石川県の石川県立伝統産業工芸館、東京国立近代美術館などこれまでにもたくさん見てきたが、乗泉寺は自宅から一番近くて、一番好きな谷口吉郎建築かもしれない。
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こんなに静かで癒しの場所が自由に出入りできるなんて寺院ならではだ。
ステンドグラスではなく、カラーガラスを効果的に使った蛇腹の壁面をもつ祈りの場所も素晴らしい空間だ。1階から2階へ上がる2つの階段には、どちらも海老原喜之助の「合掌」というモザイク壁画ある。
非常にシンプルな構成だが、印象的なモザイク壁画だ。
素晴らしい本堂の内部空間についてはブログ「 東京都内建築巡り<代官山その1>谷口吉郎の名建築から中村拓志、平田晃久、nendo、黒木理也、クラインダイサムアーキテクツまで。」を読んでほしい。本堂の内部空間の写真も見ることができる。
このブログの<渋谷建築巡り01>で紹介した渡辺誠設計の青山製図専門学校のすぐ近くだ。