先日訪れた東麻布のギャラリータケニナガワでマーティン・キッペンベルガーの作品集を見かけて、このアーティストのことを思い出しました。
マーティン・キッペンベルガーは、残念ながら1997年に44歳の若さで亡くなっています。ドイツはドルトムント生まれの彼が主に80年代を過ごしたベルリンにあるハンブルガーバーンホフ美術館にて、生きていたら還暦60歳という2013年に大回顧展が開催されています。その様子が動画で記録されています。
残念ながら日本の美術館で個展が開催されたことはありません。ただ、まだ存命中の1995年10月にヒルサイドギャラリー(現アートフロントギャラリー)と没後の2015年にタカイシイギャラリー東京にて個展が開催されています。ヒルサイドギャラリーの展覧会は亡くなる2年前ですが、展覧会に本人が姿を見せることはかなわず、この時すでに彼の体を病魔が蝕んでいたのでしょう。
というわけで日本ではまだ知る人ぞ知るアーティストなのです。
この動画は、アンジェリック・リーマーがマーティンの肖像画を描いている映像です。1977年ベルリンにてということですからマーティンがまだ24歳の頃、若いです。1978年にベルリンに移住する以前は、俳優を目指してフィレンツェに住んでいたので、その頃かと思われますが、すでに77年にはベルリンに移住していたのかもしれません。
彼の表現は多岐に渡り、絵画、彫刻、コラージュ、ポスター、写真、パフォーマンス、インスタレーション、書籍と様々な活動をしています。そして生涯を通じて旅行と移住を続け、パリ、ウィーン、ケルン、セビリア、マドリッド、ヴェニス、ロサンゼルスなどに拠点を移しながら精力的に制作し、1997年、飲酒過多からくる肝硬変により、ウィーンにて亡くなりました。
日本でも大規模なマーティンの展覧会が観られる日がくるのを願って止みません。