札幌に行ったことがある方なら、訪問したことのある人も多いでしょう。そのくらい有名な巨大公園がモエレ沼公園だ。
モエレ沼公園は、札幌市の環状グリーンベルト構想の中心的な拠点として計画された総合公園で、1982年に着工し、2005年にオープンしたのでもうすぐ20周年を迎える。
この公園が特別である理由に世界的に著名な彫刻家イサム・ノグチが基本設計を手がけていることがある。
広大な敷地には幾何学形態を多用した山や噴水、遊具などの施設が配置され、まるで巨大な彫刻作品のような公園だ。
ランドアートでもある公園は、四季折々に美しい風景が広がる。季節の花々や紅葉だけでなく札幌らしい雪景色はリピーターなら一度は見てみたい光景だ。
夏場は水遊び場や噴水が人々を楽しませ、広大な敷地をレンタルサイクルで周遊することもできる。初訪問者にはレンタルサイクルでの周遊がおすすめだ。
また、ゴミ処理場跡地の再利用や地域固有の自然エネルギーを活用した冷房システムの導入など、自然環境保全にも配慮された最先端の巨大公園でもある。
この広大な公園の中でも注目したいのはガラスのピラミッドだ。
この建築の設計はアーキテクト5。アーキテクト5は、エントランスにイサム・ノグチの石庭「天国」がある丹下健三設計の草月会館を担当した河村純一が丹下健三市建築設計研究所から独立して設立した設計事務所だ。
このガラスのピラミッドは、駐車場から近いのでモエレ沼公園に足を踏み入れて最初に目に入る建築だ。
ガラスで構成された透明感のあるアトリウムは、「ピラミッド」と呼ばれているものの、実は四角錐状ではなく、一辺が51.2mの三角面と四角錐、立方体が組み合わされた複雑な形態なのだ。
形状は違えども、設計当時建設していたノグチの若き友人である建築家I.M.ペイによるパリのルーブル美術館のガラスのピラミッドへのオマージュだと言われている。
ガラスでできた繊細で浮遊感のあるピラミッドとどっしりと存在感のあるモエレ沼公園の象徴モエレ山との対比がこの公園の面白いところであり彫刻的なところだろう。
館内にはレストランやギャラリー、ショップ、公園管理事務所が入っている。特にギャラリーにはイサム・ノグチについてや、この公園の沿革などが展示されていて興味深い。
暑さ寒さが厳しい季節でもこの中は快適だ。天気のいい日はピラミッドの構造が影となって階段に模様を描き、絵画的な美しさを見せる。一度は訪れてほしい建築の一つだ。